熱中症対策の重要性と保育現場における新たな課題とは

最近の気候変動による猛暑は、特に幼い子どもたちの健康に甚大な影響を与えています。千株式会社が実施した「熱中症対策に関する意識調査」では、全国の保育施設352カ所と、891名の保護者を対象にした結果が発表されました。この調査では、保育現場や家庭での熱中症対策の実態が浮き彫りになりました。

調査の背景

近年、日本では記録的な暑さが続いており、2025年にはさらなる高温が予測されています。それに伴い、保育施設や家庭での熱中症対策がますます重要な課題となっています。特に、2025年6月からは厚生労働省による「職場における熱中症対策の強化」が施行され、保育施設もその対象に含まれることから、迅速な対策が求められています。

調査結果の概要

調査結果によると、保育施設の約90%が猛暑による戸外活動の制限に悩んでおり、保護者の約7割が子どもが体調の変化を伝えられないことを心配していることが明らかになりました。特に、子どもたちの健全な発達に不可欠な戸外活動が猛暑によって制限されることは、大きなジレンマです。

熱中症対策の実施状況

保育施設における熱中症対策としては、99.4%が「こまめな水分補給」を実施し、97.7%がエアコンや扇風機などの空調設備を活用しています。また、56%が熱中症に関するマニュアルの作成、48%が医療機関との連携、46.9%が研修を行うなど、バラエティに富んだ対策が行われています。

これらの対策について、保護者の67.9%が「安心している」と回答しており、保育現場での努力が一定の評価を受けていることが伺えます。しかし、昨年の夏に84.1%の保育施設が熱中症警戒アラートに従い、戸外活動の中止や制限に苦慮していました。

熱中症リスクを感じる環境

調査によると、昨年の夏にお子さんが熱中症を発症したと答えた保護者は6.1%に及び、最も多くの発症が屋外で遊んでいる時に発生しています。また、保護者の48.7%が園や学校での活動中、48.3%が水遊びの最中、43.2%が寝ているときに体調変化を心配していることが分かりました。

保護者の不安と課題

調査では、保護者の71.3%が子どもが自分で体調の変化を伝えることに不安を感じており、58.8%が熱中症の初期症状に気づけるか不安を抱えています。家庭での熱中症対策としては、96.4%が水分補給、83.3%が適切な服装、82.2%が室温湿度の管理を実施していますが、バランスの取れた食事を意識しているのはわずか29.3%にとどまり、日常的な生活習慣の見直しが必要とされています。