町屋に誕生した新たなクラフトトニックバーの魅力とは
2023年10月29日、東京の町屋に新たなクラフトトニック製造所兼バー『日出ずるクラフト蜜造所』がグランドオープンしました。この店舗は、代表の高橋さんの幼少期の思い出がつまった場所で、彼の家族の歴史とも深く結びついています。
町屋と高橋さんの思い出
高橋さんは、祖父が戦後直後に営んでいた製菓会社の記憶を胸に、町屋で開業を決意しました。彼の幼少期には、祖父と共にトラックに乗って町屋の通りを行き来する日々があり、この土地が高橋さんの心の中に深い思い出とアイデンティティを形成しています。
クラフトトニックへの思い
高橋さんは、業務用酒販店での勤務時に「トニックウォーターは売れない」という言葉に触れ、その反骨心からトニックの深い魅力に気づきました。清涼飲料のシロップ会社で働く中で、「シロップは嗜好の素となる」という哲学にも影響を受け、自宅でクラフトトニックを作ることを決意したのです。コロナ禍の自宅での時間を活用し、ついに開発プロジェクトが始動しました。
開発の試行錯誤
しかし、トニックウォーターの肝とも言えるキニーネの使用が日本の規制によって難しいことに直面しました。「キニーネを使わずにトニックと呼べるのか?」という葛藤に陥るも、祖父が高価なチョコレートをお菓子という形で届けたエピソードを思い出し、「じゃあ、キニーネにこだわる必要はない」と決意しました。
新たな苦味の発見
その後、高橋さんは幼少期の記憶を頼りにビール工場のホップの香りを思い出し、これをトニックに応用することを決めました。新潟産のホップを採用し、キニーネに代わる独自の苦味を表現しました。試作は108回に及び、高橋さんの熱意と情熱がつまった一杯が完成へと近づきました。
物語を感じるブランド名
『日出ずるクラフト蜜造所』という名前には、高橋さんの趣味から始まったプロジェクトが由来しています。もし日本が鎖国を続けていたらという設定のもと、憧れのジントニックを独自に再現するという背景が、このブランドの風味を決定しました。店内では、ホップと甜菜糖、レモン、ライムなど様々なボタニカルを使った深い味わいが楽しめます。
ユニークなメニュー紹介
ちなみに、店内ではクラフトトニックを使用したカクテルやソフトドリンクのメニューも豊富で、特に『黒レモネード』は、製造過程で出たレモンやライムの粕を活用したサステナブルな一品です。これは、素材を余すことなく利用するという高橋さんの哲学が反映されています。
施設の概要
- - 施設名:日出ずるクラフト蜜造所
- - 所在地:東京都荒川区町屋3-7-17 エベビル104
- - 営業時間:火・水・金 18:00-23:00、土曜 16:00-23:00
- - 定休日:日・月・木曜
- - 席数:カウンター6席、スタンディングカウンター約3名
このように、町屋に生まれた新たなクラフトトニックバー『日出ずるクラフト蜜造所』では、飲む人々に物語を感じさせる飲み物と空間を提供しています。高橋さんの情熱と幼少期の思い出が交錯したこの場所に、ぜひ足を運んでみてください。