廃棄物から生まれた美容の新星
赤ワインの製造過程では、主にブドウの果皮や種子部分が抽出された後に残る「ワイン残渣」が存在します。この廃棄物に着目したのが、サントリーウエルネス株式会社の生命科学研究所です。同社は、赤ワイン残渣から「赤ワインポリフェノールエキス」を開発し、その美容効果を明らかにしました。この成果は、2024年10月にアイルランドのイグアスで開催される国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)で発表される予定です。
赤ワインポリフェノールエキスの開発
サントリーの研究チームは、赤ワイン残渣に含まれるポリフェノール成分が、肌の老化やさまざまな不調に対する強い抗酸化作用を持っていることに着目しました。加齢とともに蓄積される酸化ストレスが問題視される現代、ポリフェノールはその解決策の一つとして期待されています。
サントリーは30年以上にわたり、ポリフェノールに関する研究を進め、多数の有効成分を活かした製品を市場に投入してきました。赤ワイン製造工程で廃棄されがちなワイン残渣を有効活用し、美容に特化したエキスの開発に乗り出すことになりました。
開発の背景と方法
「サントリー登美の丘ワイナリー」で得られたワイン残渣からエキスを抽出するために、最適な溶媒条件とカラムによる精製方法を検討しました。このプロセスにより、ポリフェノールの純度が高まるエキスを生成することに成功しました。また、さらなる検討を重ね、抗酸化作用、美白、美容効果を持つ高重合ポリフェノールを含む「赤ワインポリフェノールエキス」を完成させました。
美容効果の評価
研究により、「赤ワインポリフェノールエキス」には以下のような幅広い美容効果が確認されました。
1.
抗酸化作用: 肌老化の原因となる酸化を防ぎ、肌を保護。
2.
美白作用: 紫外線によるダメージや、シミの元になるメラニン生成を抑制。
3.
アンチエイジング作用: コラーゲンやエラスチンを守り、肌の若々しさを保つ。
4.
抗炎症作用: 肌の炎症を抑えることで、健康的な肌をサポート。
5.
抗糖化作用: 糖化を防ぎ、肌のくすみを予防。
これらの検証結果から、特に抗酸化作用、美白作用、アンチエイジング作用が顕著であることがわかりました。
まとめと将来展望
赤ワイン製造の過程で捨てられていたワイン残渣から、新たな「赤ワインポリフェノールエキス」の開発が成功しました。このエキスは、幅広い美容効果を持ち、特に抗酸化作用や美白作用が期待されています。加齢や環境の変化による肌の悩みにアプローチするための有効な手段として、今後のスキンケア製品にその利用が進むことが期待されます。
サントリーは今後も、ポリフェノールを含むさまざまな成分の研究を行い、健康と美容の向上を目指します。持続可能な美容と健康を実現するために、さらなる発展を続けていくことでしょう。