『timespace』渋谷版正式ローンチ - AIが導く新しいナビゲーション体験

AIが生み出す新しいナビゲーションの形

2023年、渋谷を舞台にした新しいAIナビゲーションアプリ『timespace』のベータ版が正式に発表されました。このアプリは、単なる目的地案内の手段を超え、都市探索や観光における新たな発見を促進することを目指しています。『timespace』プロジェクトチーム、Tomorrow Never Knowsによって開発されたこのアプリは、人の行動や移動を革新する要素を取り入れています。

新しいナビゲーション体験の可能性

なぜこれまでのナビゲーションは“いい場所”にたどり着くことを妨げていたのでしょうか？市販されている地図アプリやレビューサイトには多くの情報が溢れていますが、ユーザーは「自分だけの場所」に抵抗感を感じていることが多いのです。人々は、特別な魅力を感じる場所への道のりが見えづらくなっていると感じています。これは、検索やAIプロンプトが「自分の感覚や価値観を言語化できる」ことを前提にしているからです。

この背景には、地域のユニークな魅力や「空気感」を情報化することができないという課題があります。結果として、ユーザーは本当に魅力的な場所へのナビゲーションを受けられないという状況が生まれていました。『timespace』は、この課題を解決するために登場しました。現在の大規模言語モデル（LLM）の進歩により、AIは人間の動きや選択を理解し、次に心が動く場所を提案することができるようになっています。

探索しながら進む新しい体験

従来のナビは「決まった目的地」を目指すものでしたが、『timespace』はまだ決まっていない「次の行き先」へとユーザーを誘います。この変化が、人間らしい迷いの中での発見や寄り道といった探求の楽しさを再び体験できる新しいナビゲーション体験を生み出します。

『timespace』は、最初のプロジェクトとして「10,000 POIプロジェクト」を発表しました。これは、東京・渋谷で10,000件の「行き先情報」をユーザーの視点と感性から投稿・生成していくことを目指しています。こうしたアプローチは、世界中の都市が直面する“オーバーツーリズム”と“アンダーディスカバリー”という課題に対する一つの解決策でもあります。

SXSWでのチャンスの掴み方

2025年に米・オースティンで開催されるSXSWでは、すでに約2,000件のPOIを搭載した『timespace』が高い評価を受けました。地元住民も驚くような、思い掛けない魅力的な目的地との出会いがユーザーから共感を得ました。「見えない地図を、見えるようにする」というビジョンのもと、新たなナビゲーションの形を届けることが目指されています。

SXSWでの体験は、様々なメディアからも注目を集めました。特に「自分の感性に沿った目的地を、行き先を入力しなくても見つけることができる」という新しい体験は、従来の地図アプリでは味わえない興奮を提供しました。

渋谷から始まる未来の都市体験

私たちは、SXSWでの体験から得た驚きを、渋谷で最初に実現することを決定しました。時代の先端を行くこの都市は、観光客のみならず、地元住民にも深く愛される魅力にあふれています。この複雑で驚きに満ちた渋谷こそが、時代の変化をリードするための最適な出発点であると考えています。

『timespace』は、意味のある偶然を生み出し、都市と人、場所と意味を繋いでいく新しいナビゲーションの形を提供することで、より多くの人々に探索の喜びを届けようとしています。今後も渋谷を拠点に、さらなる進展が期待される『timespace』。今後の展開にも目が離せません。