富山大学教授の国際交流
2023年、富山大学附属病院の吉田丈俊教授がシンガポールのKK Women’s and Children’s Hospital(KKH)を訪問しました。目的は、育児における頭蓋変形の診療と治療法についての学び、シンガポールの医療従事者との情報交換です。本訪問は、赤ちゃんの「頭のかたち」に関する国際的な医療ネットワークを形成する新たな一歩と捉えられています。
KKHの「頭のかたち外来」
シンガポールのKKHは、女性と子どもに特化した医療を提供する大規模な病院です。ここでは、乳児における頭蓋変形の症例が増加しており、2024年度には年間1,000件を超える見込みです。この需要に応じて開設された「PlagioCentre(頭のかたち外来)」は、小児科医、理学療法士、義肢装具士などから成るチームが一体となって診療を行います。特に、当社が製造する力クルムフィットヘルメットが、この外来で用いられている唯一の治療用具として採用されています。
吉田教授の研修と講義
吉田教授は、シンガポールでの「頭のかたち外来」を実地見学し、現地の医療チームに向けて、位置的頭蓋変形や病的頭蓋変形の鑑別及びヘルメット治療の適応について指導を行いました。このプロセスでは、富山大学附属病院の実践に基づく具体的な症例の共有が行われ、多職種チームと活発なディスカッションが実現しました。
特に、低線量スズCTを活用した非侵襲的な頭蓋健診の進め方や、患者及び家族への適切な説明方法、フォローアップ体制についての話し合いが行われ、これが今後の相互研修や共同研究の礎となると期待されています。
13th SiPPAC 2025の参加
吉田教授は、この訪問に併せて開催された第13回SiPPAC 2025学会にも参加しました。シンガポールの医療の特色や周産期・新生児医療に関するさまざまな課題についての理解を深める貴重な機会となりました。この学会では、日本とシンガポールにおける診療の違いや共同の課題に関して、参加者同士の意見交換が盛んに行われました。
今後の展望
KKHでの講義やシンガポールの医療制度に基づく学びから、吉田教授は今後、シンガポールとの共同研究を進めることを主張しています。具体的には、斜頭症のヘルメット治療および早期癒合症に関する研究が進められ、これにより双方の医療の質向上に寄与することが見込まれています。
締めくくり
今回のベンチャーは、赤ちゃんの頭のかたちに悩む親家族にとっての希望を広げるものであり、国際的な医療連携の重要性を再認識させるものでした。今後も富山大学附属病院とシンガポールの医療機関との交流が活発化し、さらなる医療の発展が促進されることが期待されています。