地域を支える農事法人「イーノなかのはま100」が20周年を迎えた思い
福井県あわら市の中浜地区にある農事組合法人「イーノなかのはま100」が、今秋で設立から20年を迎えます。2006年の設立以来、地域農業を支えるために数々の取り組みを行ってきました。今では、地域の66軒の農家が参加し、約100ヘクタールにわたる水田を共同管理。そして、田植えの最盛期を迎えた今、彼らの活動の現状を取材しました。
法人名に込められた地域への思い
「イーノなかのはま100」という名称には、地域への愛着やユーモアが詰まっています。福井の方言で「いいの」は「いいね、うらやましいね」という意味があり、これを「いい農業」とかけ合わせて名付けられました。また、「中浜」という地名の読みやすさを考慮し、ひらがなにしています。最後に「100」は、守るべき田んぼの面積がちょうど100ヘクタールだからです。こうしたユニークな命名には、地域の皆で「良い農業」を具現化しようという強い意志が込められています。
集落での共生の道を選んだ過去
法人設立当初の代表者たちは、後継者不足の懸念から「みんなで農業をやっていこう」という決意を固め、多くの会議を重ねました。その結果、地域内の農地が法人に集約され、耕作放棄地を無くすという目標が定まりました。この想いは、20年経った今でも変わることなく、地域の持続可能な農業を支えています。
高価な機械を共有する知恵
集落営農の特徴的な利点は、農業機械の共同利用です。現在のコンバインは2000万円近くするものも多く、各家庭で持つことは大きな負担です。しかし、「イーノなかのはま100」では、コンバインを2台、トラクターを7〜8台所有し共同で利用しています。これにより、コストを抑えつつ効率的な農作業を実現しています。加えて、広大な水田では大規模な機械作業が可能で、冷たい地下水を利用して夏の水温管理もスムーズに行えています。
新たな品種で気候変動に対応
最近の気候変動に対応するために、「イーノなかのはま100」では、いちほまれ・コシヒカリ・ハナエチゼン・あきさかりの4種をリレー栽培しています。同じ品種だと収穫時期が集中し、作業が追いつかなくなるリスクがあるため、時期をずらす4品種を選択しています。また、暑さによる品質低下に備え、高温耐性の品種の導入も進めています。これらの取り組みは、将来的なリスクに対抗するための重要な戦略となっています。
田植えの魅力と人とのつながり
田植え現場では、作業員たちが協力し合って田植えに取り組んでいました。運転手に苗や肥料を運ぶスタッフが連携し、それぞれのスキルを活かし合っています。「田植えはお祭りのようなもの。そこに至るまでの過程に意味があります」(働き手・東出さん)。多世代の人々が共に協力し、コミュニケーションが生まれる場所こそが、地域ならではの醍醐味です。
次世代のために
一方で、組合員のほとんどは別の仕事を持っているため、平日に作業できる人手が限られています。「今後は専従で働く人材の雇用も真剣に検討しなければならない」と田崎代表は語ります。過去20年間の成功を糧に、未来に向けた新しい仕組みを構築する責任が求められているのです。
まとめ
「イーノなかのはま100」の活動は、農業を守るだけでなく、地域の人と人との絆を育む大事な役割も果たしています。今後もこの法人が新たな挑戦や試みを通じて、持続可能で魅力ある農村の形を築いていくことでしょう。