青森の廃棄貝殻を素材にした新プロジェクト
青森県で新たに発足したプロジェクトが、廃棄されるホタテの貝殻を資源として再利用し、地域活性化を目指しています。この取り組みは、株式会社TBWA\\HAKUHODOと甲子化学工業株式会社、そして株式会社山神が共同で企画したもので、「HOTASCOOP(ホタスコップ)」と「HOTAPARK(ホタパーク)」という二つの新たな製品がカギを握ります。
プロジェクトの背景
青森県では、毎年約5万トンのホタテ貝殻が廃棄されています。これらの貝殻は一部が土壌改良やチョークとして利用されていますが、大半は産業廃棄物なってしまっています。これを捨てるのではなく、資源として再活用できないかと考えたのがこのプロジェクトです。
特に2025年1月、青森県は非常に厳しい豪雪に見舞われ、除雪作業が大きな負担となりました。厚生労働省によると、雪かきの身体活動の強度は、バスケットボールやウェイトトレーニングと同程度でした。そのため、持ちこたえられないプラスチック製のスコップが多くの家庭で廃棄される状況でした。そこで、ホタテ貝殻で作られた耐久性に優れたスコップの開発が急務となったのです。
「HOTASCOOP(ホタスコップ)」の誕生
「HOTASCOOP」は、ホタテ貝殻から生まれた新素材「SHELLTEC」を使用した、環境にも身体にも優しい雪かきスコップです。この素材は、ホタテの貝殻と廃棄プラスチック・コンクリートを組み合わせることで、強度と耐久性を両立させています。さらには、プラスチックを100%使用した場合と比較して、最大36%のCO2削減が期待できます。開発が進む中、テスト運用を行い、早期の商品の市販化が目指されています。
「HOTAPARK(ホタパーク)」の構想
また、青森市では同様に廃棄貝殻を利用した観光型公園「HOTAPARK」の計画が進行中です。この公園は、廃棄物の削減と資源の循環利用だけでなく、地域の観光資源としても位置付けられています。ここでは、地域住民や観光客が共に自然と触れ合える癒しの空間が広がることを予定しており、持続可能な地域づくりに貢献します。
SHELLTECの特長
「SHELLTEC」は、日本初の貝殻を用いた新素材で、ホタテ貝の廃棄物を資源として再利用したものです。炭酸カルシウムを含み、建材やセメント、プラスチックの原料としても幅広い用途があるため、その製品展開が期待されています。安全性や環境への配慮も考慮され、様々な形で利用できる機会が増えていくことでしょう。
青森の新時代へ
このプロジェクトは、あおもりオープンイノベーション共創プログラム「AOMORI OPEN INNOVATION PROGRAM 2024 Blue Ocean」の一環として実施されています。青森の豊かな自然と歴史を活かしつつ、新しい価値の創造を目指した取り組みとして賛同を得ています。環境を守り、地域経済を活性化できるような新しい発想が、青森の未来を築く鍵となるのです。今後の展開に注目が集まります。