地方創生2.0への理解と現状を探る
大正大学の地域構想研究所が実施した「地方創生2.0」に関する全国自治体アンケート調査が2025年春に行われました。この調査は、全国の1,741自治体を対象に、地方創生に対する現在の態度や政策のスタンス、必要とされる人材像についての具体的な実態を把握することを目的としています。
調査の背景と目的
日本は人口減少という厳しい現実に直面しており、地方自治体における経済や社会の持続可能性が求められています。そこで、新たに提唱された「地方創生2.0」は、従来の政策をさらに進化させるためのものですが、各自治体がどのようにこの方針を受け入れているのかを探ることが重要です。今回の調査では、人口減少を前提とした政策立案のスタンス、人材育成のニーズ、そして地方創生2.0をどう捉えているのかが焦点となりました。
受け止め方に見える温度差
調査結果によると、全体の44.2%の自治体が「地方創生1.0の延長」として「地方創生2.0」を捉えている一方で、新しい概念として積極的に取り入れている自治体はわずか10.3%にとどまっています。この温度差は、各自治体の地域課題や施策に応じて異なることが示唆されています。特に、「デジタル田園都市国家構想」に興味を持つ自治体が多いことも明らかとなりました。
人口減少に対する政策スタンス
今回の調査では、人口減少に関する政策立案のスタンスに関して、賛成、慎重、反対の三つの派閥が見られました。「賛成派」は37.5%と、特に小規模自治体で多く見られました。一方で、慎重派が39.8%にも及び、人口減少を前提にすることに対しての懸念が表れています。また、反対派も19.9%存在しており、地域課題の多様性を考慮した柔軟な対応が求められることが浮かび上がりました。
求められる人材像の変化
自治体職員として求められる人材像は、「地域の課題を見つけてプロジェクトを推進するリーダー」が約50%を占めており、実際に現場での問題解決能力が重視されています。特に、人口5〜10万人の自治体では、そのニーズがさらに顕著に見られました。これは自治体が外部との協力を重視しつつ、内部での専門性を深めていく必要性を示しています。さらに、職員研修においても「実務に直結した内容」を求める声が大きく、現場力が重視される傾向が続いています。
今後の展望
この調査の結果は、地方創生2.0に向けた自治体の姿勢や現実を再認識するために不可欠なデータです。特に、温度差、人口減少への柔軟なアプローチ、そして現場に即した人材育成の必要性が強調されており、これらの問題に対する真摯な取り組みが求められています。今後の地方創生に向けた政策の策定において、これらの結果がどのように活かされるか、注目が集まります。
大正大学の詳細な調査結果については
こちらからご覧いただけます。私たちの未来を支えるために、地方自治体がどのように変革を遂げていくのか、その動向に期待が寄せられています。