カナダ・ジャスパーでのアルバータ峰初登頂100周年
2025年7月21日、カナダのアルバータ州に位置するジャスパー博物館及び記念公園で、特別な式典が行われました。これは日本人によるアルバータ峰の初登頂から100年を迎える記念すべき日であり、多くの登山家や関心を持つ人々が集まりました。このイベントは、カナダ山岳会とジャスパー・イエローヘッド・ミュージアム&アーカイブスが主催し、特に日本山岳会からは会長の橋本しをりを含む30人以上のメンバーが出席しました。
式典の冒頭では、前夜の歓迎パーティが行われ、参加者同士が親睦を深める貴重な時間を持ちました。続く日曜日の朝には、登山史家のチック・スコット氏が登山の歴史に関する講演を行い、記念公園での式典及び昼食パーティへと展開しました。また、マイク・モーティマー氏による講演では、アルバータ峰登頂時に残されたピッケルにまつわる興味深い逸話が披露され、参加者の関心を引きました。最後には、アルバータ峰の初登頂を象徴する巨大な壁画が公開され、イベントに華を添えました。
アルバータ峰は、ジャスパー国立公園の美しい自然に囲まれた高峰で、その標高は3619mに達します。山容は急峻で、その難易度は高く、多くの登山者にとって挑戦となります。1925年の初登頂は、槇有恒隊長を中心とした6名の日本人登山隊によって成し遂げられました。この成功は、日本初の海外登山隊としても重要な意義を持ち、当時の日本国民に希望をもたらした出来事でした。
また、記念に残されたピッケルは、長年行方不明となっていましたが、最近の調査によりアメリカと日本で別々に保存されていたことが判明し、1997年にはそのピッケルが元の状態に戻り、現在はジャスパー博物館で大切に展示されています。アルバータ峰の初登頂から100年という節目に、来訪者たちはこの特別な歴史を直接感じることができました。
しかし、イベントの開催が危ぶまれる場面もありました。昨年7月、ジャスパー周辺では大規模な森林火災が発生し、美しい町の3分の1が焼失するという大きな被害に見舞われました。幸運にもジャスパー博物館は被害を免れましたが、当初はイベント開催が困難な状況でした。今回のイベントは、ジャスパー市の復興支援の一環として位置づけられ、地域の復興のシンボルとなりました。
最後に、参加者全員が集い、アルバータ峰の初登頂を祝う巨大壁画の前で記念写真を撮りました。このイベントはただの登山記念ではなく、地域への思いを新たにし、多くの人々の心に深く刻まれたことでしょう。