国立映画アーカイブで味わう横浜映画の魅力とは？

横浜の過去と未来を映し出す映画特集

国立映画アーカイブが贈る「NFAJコレクション 2025 春」では、横浜に焦点を当てた映画の特集が開催されます。339月7日から23日までの期間中、無声映画からドキュメンタリーまで、横浜にまつわる多様な作品が上映されます。

横浜の映画産業の歴史

江戸時代より開港地として知られる横浜は、映画産業発展の重要な舞台となりました。吉澤商店から始まり、日本初の洋画封切館であるオデヲン座も横浜に開館しました。この都市は、無声映画の作品やアクション映画が盛んにロケされ、映画文化の一大拠点としての役割を果たしました。

本特集では、特に日本映画の進展に寄与した作品を上映します。たとえば、1918年に制作された『成金［SANJI GOTO－THE STORY OF A JAPANESE ENOCH ARDEN］』や大正活映の名作である『港の日本娘』（1933）などが紹介され、横浜の風情を感じることができます。

映画を通して見る横浜の生活史

上映作品の中には、戦後の横浜の変容を映し出した作品も多く含まれています。中平康の『月曜日のユカ』（1964）や成瀬巳喜男の『ひき逃げ』（1966）などは、当時の横浜の市民生活や社会状況をリアルに捉えており、映画を通じて横浜の歴史的背景を学ぶことができます。

たとえば、鈴木清順の『密航0ライン』（1960）では、敗戦直後の横浜の風景が描かれ、また黒澤明の名作を再映画化した『野良犬』（1973）などからは、横浜の多様な文化や暮らしが垣間見えるでしょう。これにより、観る者は単なる映像以上の横浜の歴史的文脈に触れることができます。

横浜独自の音楽文化と映画

横浜には音楽文化も根付いており、米兵や若者たちが集まり、活気のあるライブハウスが誕生しました。そんな中で製作された工藤栄一の『ヨコハマBJブルース』（1981）は、松田優作の思いがこもった作品として注目されています。また、ザ・ゴールデン・カップスの活動を描いたドキュメンタリー『ザ・ゴールデン・カップスワンモアタイム』（2004）も上映され、横浜の不良文化が生み出した音楽の影響を浮かび上がらせます。

特集の概要

「NFAJコレクション 2025 春」は、3月7日から23日までの金、土、日曜日に、国立映画アーカイブ小ホールでの上映となります。興味深い映像体験を通して、横浜の多彩な歴史と文化を深く理解できる貴重な機会となるでしょう。

詳細やチケット購入については、国立映画アーカイブの公式ウェブサイトをご確認ください。