日本初の発掘調査報告書総目録が公開されました
国内の遺跡に関する詳細な情報は、我々の歴史を理解するうえで不可欠なものです。これまで、日本国内に存在する発掘調査報告書の正確な冊数は不明でしたが、このたび奈良文化財研究所(奈文研)によって市町村・都道府県ごとの発掘調査報告書総目録が作成され、発表される運びとなりました。
総目録の公開の概要
この総目録は、2024年8月26日(月)より「全国遺跡報告総覧」で閲覧可能となります。これまで戦前から発行されてきた報告書の数は推測で十数万から二十万冊とされていましたが、今回の公開によりその実数がついに明らかになります。インターネットを通じて、誰でも簡単にアクセスできるようになり、研究者や歴史愛好家にとっての貴重なリソースが提供されています。
公開情報と資料の利用方法
全国遺跡報告総覧のウェブサイト(
詳細リンク)から、無料で情報を閲覧することができます。また、印刷物については奈文研の図書資料室や国立国会図書館で閲覧可能で、さらに2024年度内には各県立図書館や県内の大学図書館にも配布が予定されています。
作成過程と網羅性の高さ
このプロジェクトは、奈文研が2016年度から取り組んできた長期的な研究の成果です。図書資料室や国立国会図書館をはじめ、大学図書館や公共図書館の書誌データを集約し、暫定リストを作成。その後、各県の教育委員会の文化財課を通じて、地元の文化財専門職に確認作業を依頼しました。このように、地方公共団体と協力をして作成することで、網羅的な情報の提供を実現しました。
新たな試みとデータの利用促進
今回の目録には、地方の文化財報告書だけでなく、大学や各種機関で発行された報告書も数多く含まれています。さらに、CiNiiBooksや国立国会図書館のデータベースとの連携にも取り組み、各種書誌情報を整理・記載することで、閲覧者の利便性を高めました。特に、目録のEXCELデータを公開することで、研究者などによるデータ再利用を促進する狙いがあります。
今後の活用方法
全国遺跡報告総覧での情報提供は、歴史研究や地域学の研究の基礎データとなることが期待されています。この機会に、国や地域に存在する貴重な遺跡やその発掘調査の結果を見直し、新たな歴史認識を深める材料としてご活用いただければ幸いです。また、地域の歴史を学ぶ上で、子どもたちへの教育資源としても役立つことでしょう。
この発掘調査報告書の総目録公開は、私たちが自国の歴史や文化を再確認する貴重な機会であり、未来に向けた新たなスタートを切るための一歩です。それぞれの地域に埋もれた歴史を掘り起こすための情報源として、ぜひ利用してください。