首都圏新都市鉄道の運賃上限変更が認可
2023年に入って、首都圏新都市鉄道株式会社は国土交通省に対して旅客運賃の上限変更を申請しました。その内容が、2023年6月26日付けで運輸審議会から「認可することが適当」との答申を受け、最終的に国土交通省による認可が下されたことが報じられました。この改定は2024年3月から実施される予定です。
背景
この運賃改定の背景には、鉄道設備の老朽化や安全確保のための設備更新、そしてコロナ禍における財務状況の悪化があるとされています。特に、平成17年の開業以来20年が経過し、様々な設備が劣化していることが影響しています。このため、適切なサービス提供を続けるためには多額の投資が必要不可欠とされています。
また、沿線に住む住民からは車両の長編成化を求める声も強く、これに対応するためにも資金が求められています。一方で、コロナ禍の影響により、同社は約4,357億円の長期債務を抱えており、返済をしながらも必要な投資を確保する困難さが顕在化しています。こうした背景から、初めて消費税改定を除く運賃改定が必要とされました。
改定内容の詳細
今回の運賃改定には以下の内容が含まれています。改定率は全体で12.2%に設定されており、具体的な内容は以下の通りです。
- - 普通旅客運賃: 8.2%の増加
- - 定期旅客運賃: 通勤は20.2%、通学は▲15.3%の改定
- - 初乗り運賃: 3キロまでの料金が、ICカード利用の場合168円から180円に増加(磁気券は170円から180円)
また、定期券の割引率も見直されており、通勤定期券は37.4%(現行は40.6%)、通学定期券は70.0%(現行は60.4%)とされています。
今後の見通し
この運賃改定の実施は、2024年の3月予定です。この改定により、鉄道会社は収入を増やすことで、より多くの安全投資を行い、輸送のサービス向上に努めることが期待されています。また、国土交通省はこの改定によって総収入と総括原価の実績を確認することにしています。
経営を効率的に行い、今後も安定した輸送サービスを提供するために、今回の運賃改定が果たす役割は非常に大きいと言えるでしょう。今後も、首都圏新都市鉄道の動向に注目が集まります。