ispaceが月周回軌道に到達
2025年5月7日、日本時間午前5時41分。株式会社ispace(証券コード9348)が実施するミッション2「SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON」において、月周回軌道への到達を達成しました。これにより、月面着陸を目指すプロジェクトにおける重要なマイルストーンを果たしたことが発表されました。
成功の背景
ispaceのエンジニア陣は、東京の日本橋にあるミッション・コントロール・センターで緊張のひと時を迎えました。午前5時41分、ミッション運用計画に基づき、月周回軌道投入マヌーバを開始。このマヌーバでは、主推進系の燃焼が9分間にわたって行われ、見事に成功を収めました。エンジニアたちの間には安堵の表情が広がりましたが、このマヌーバはミッション2における全9回の中で最も重要な作業でもあったため、その成功は特に意義深いものでした。
月面着陸へのカウントダウン
月周回軌道に投入を終えたRESILIENCEランダーは、打上げ日から数ヶ月間の活動を経て、最終的に月面着陸へ向けた準備が整いました。次のステップとして、5月28日頃までに予定されているすべての軌道制御マヌーバを完了し、その後、月面着陸へ向けたカウントダウンが開始されます。ミッション2の成功をもとに、さらなる技術進化を期待されているispace。
ペイロードの詳細
今回のミッションにおいて、ispaceはRESILIENCEランダーに6つのペイロードを搭載しています。具体的には、高砂熱学工業による月面用水電解装置、ユーグレナの自己完結型モジュール、台湾の国立中央大学が開発した深宇宙放射線プローブ、バンダイナムコ研究所の「GOI宇宙世紀憲章プレート」、ispaceの欧州法人が開発したマイクロローバー「TENACIOUS」、スウェーデンのアーティストによるムーンハウスなど、多彩なプロジェクトが盛り込まれています。さらに、ユネスコのメモリーディスクにより、文化遺産の保護にも貢献します。
今後の展望
ispaceは、日・米・欧の複数拠点で宇宙開発を進め、2025年に月面着陸を再挑戦する予定です。次回のミッション3は2026年に実施され、2027年には新たなランダーを用いたミッション4を計画しています。これらの営みにより、月面での商業活動が現実のものとなることが期待されています。
株式会社ispaceは「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ」をビジョンに掲げ、民間としての宇宙開発を進めています。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを目指し、小型のランダーやローバーの開発を通じ、月市場への参入をサポートする計画が進行中です。
自然環境を踏まえながら、持続可能な社会への貢献を目指すispaceの取り組みは、今後もますます注目を集めることでしょう。