特別展「奈良ゆかりの現代作家展 安藤榮作ー約束の船ー」
奈良県立美術館では、地元奈良を拠点に活動する彫刻家、安藤榮作の初となる大規模個展が開催されます。この特別展は「約束の船」をテーマに、安藤が奈良に移住してからの15年間の作品群を展示します。彼の芸術を通じて生まれた新たな視点や、作品と合わせて奈良の自然とのつながりにも注目が集まります。
1. 安藤榮作の軌跡
安藤榮作は1961年に東京都で生まれ、東京藝術大学を卒業後、福島県いわき市に移住しました。しかし、2011年の東日本大震災で被災し、すべてを失いました。その後、奈良県に避難し、吉野のヒノキを使用した作品制作を始めます。彼は、木を手斧で叩き刻む独特の技法を用い、制作を続けてきました。
2. 展示内容の見どころ
本展では、代表作となる木彫作品《鳳凰》や《福島原発爆発ドローイング》などが展示され、特に新作インスタレーション《約束の船.2025》が目を引きます。また、公開アトリエやパフォーマンスが設けられ、観客は安藤の制作過程を間近で見ることができます。アトリエが展示室に常設され、作品が展示会期中に変化する様子も体験でき、生きた作品創造の瞬間を感じられます。
3. 参加型イベントの豊富さ
会期中はアーティストトーク、ギャラリートークなど様々なイベントが用意されています。安藤自身が出演するトークでは、彼の作品への思いや制作過程を直接聞くことができる貴重な機会です。また、公開制作の様子を見学できる日もあり、観客は安藤が木を刻む音を間近で体験できます。
4. 関連展示で深まる理解
奈良県立民俗博物館では、「吉野林業の世界」という企画展が開催され、安藤の作品とともに、木材の生産や利用についても学べます。関連展示「行為と作品」では、安藤と同様に制作行為に重きを置いた作家たちの作品が並び、安藤の芸術の背景を多角的に理解する機会が提供されます。
5. 展覧会概要
この特別展は2025年9月13日から11月16日まで開催され、観覧料は一般1,200円、大学生1,000円と設定されています。小中高生は無料で入場可能です。
イベントスケジュール
- - アーティストトーク: 9月13日(土)14:00~15:30
- - 公開制作: 10月4日(土)14:00~14:45
- - パフォーマンス&トーク: 10月18日(土)18:30~20:30
- - クロージングトーク: 11月15日(土)14:00~16:00
安藤榮作の作品を通じて、観客は深い対話と経験を得ることができるでしょう。奈良での貴重な文化体験をお見逃しなく。