3DCの挑戦と新たな炭素材料の未来
資金調達で加速する技術開発
株式会社3DCは、次世代炭素材料「Graphene MesoSponge®(GMS)」の量産化に向けて、最近24.5億円の資金を調達しました。この資金調達は、東京都の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの支援を含んでおり、日本国内で初めてのGMS量産工場の建設に向けた重要な一歩です。
GMSは、リチウムイオン電池の機能性導電助剤として使用される予定で、2030年には年産3GWh相当の供給を目指しています。これにより、電池のパフォーマンスが著しく向上することが期待されています。
これまでの歩みと新たな目標
2022年に設立された3DCは、東北大学の研究成果に基づく技術を持ち、時間をかけて技術開発を進めてきました。2024年2月からは、GMSのリチウムイオン電池向け導電助剤グレードの初出荷を開始し、すでに複数の電池メーカーと商用化に向けた評価試験を行っています。優れた導電性や耐久性が評価され、GMSは潜在顧客からも高い需要を得ているところです。
また、3DCは複数の事業パートナーと連携を進めており、特にGMSを活用したシリコン炭素複合負極(Si/C)の開発にも取り組んでいます。この新たな応用分野には、航空分野での電池需要が見込まれ、将来的には大量の需要が見込まれています。
戦略的イノベーションと共同開発
2024年8月には、内閣府が主催する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」に採択され、GMSの製造プロセスの革新を目指すプロジェクトもスタートしています。この取り組みでは、スラリー製造プロセスの改善を図り、効率的な製造を目指しています。これにより、製品の品質が向上し、生産性を高めることが期待されています。
今後の展開
3DCは、岐阜県の旧工場を利用したパイロット工場を開設し、量産体制の確立に向けた準備を進めています。これにより、2024年からの製品出荷を確保し、業界内での競争力を高めていきます。さらに、量産工場の稼働は2026年末頃を見込んでおり、事業拡大に向けて絶え間ない努力を続ける所存です。
3DCは、「化学と物理の力で世界に幸福を」というミッションを掲げ、環境に優しいカーボンニュートラル社会の実現に向けて、持続可能なエネルギーソリューションの創出を目指しています。GMS技術の商用化は、その一環として、多くの可能性を秘めています。これからの3DCの活躍に期待が寄せられています。