TISとKort Valuta、共同で決済システムの内製化に向けた新プロジェクトを開始
TISインテックグループのTIS株式会社とKort Valutaが「ID Tech」コンセプトの決済システム内製化を実現するための共同開発を開始しました。このプロジェクトは、日本国内のキャッシュレス決済市場における進展を受けたもので、クラウド型の決済オーソリゼーションシステムの構築を目指しています。
プロジェクトの背景
日本では現在、キャッシュレス決済の比率が着実に伸びており、特にクレジットカードが決済手段の8割以上を占めています。しかし、この市場ではオーソリゼーションシステムが欠かせない存在です。店舗がクレジットカード会社に照会し、与信情報を確認する際、このシステムが稼働します。しかし、高度な可用性と信頼性が求められるため、従来のレガシーアーキテクチャに基づくハードウェアはコストがかかる上、運用には専門知識が必要で、多くの決済事業者が新サービス展開のスピードに課題を抱えています。
Kort Valutaの挑戦
Kort Valutaは、企業向けにVisaプリペイドカード「TwooCa」を提供するFinTechカンパニーであり、これまで他社のSaaSを利用してきました。しかし、独自のカスタマイズが制約されているため、内製化を決断しました。特に新規事業推進において、機能拡張やサービスのレジリエンス向上が必要とされていたのです。
そのため、TISとのパートナーシップが選ばれました。TISは高い技術力と豊富な実績を持っており、クラウドプラットフォームの開発と運用においても長けています。
共同開発の概要
この共同開発では、TISが開発したソフトウェアスタック「Lerna」を活用し、AWSクラウド上でのオーソリゼーションシステムを実現します。また、AWSジャパンの技術支援を受けながら進められ、予定では2026年の夏頃までに内製化を完了させる目標が立てられています。
Lernaを用いることで、高可用性と高スループットを持つシステムが実現されることが期待されています。TISが検証した結果、高いパフォーマンスを持つことが確認され、ミッションクリティカルな要件にも耐えることができるとされています。
Kort Valutaの未来
Kort Valutaは、システムの内製化を進めることで、独自のエンジニアリング能力を強化し、「分散型社会の実装」というビジョンの実現を目指しています。さらに、TISはこの共同開発を通じて、決済オーソリゼーションシステムを基に多様な決済手段に対応した新機能を開発し、他のFinTech事業者や決済事業者への展開を計画しています。
まとめ
TISとKort Valutaの共同開発は、キャッシュレス社会における新たな挑戦となります。この取り組みを通して、決済システムの内製化とクラウド化がどのように実現されるのか、今後に注目です。TISとKort Valutaの技術的な融合が、普及するキャッシュレス決済社会をさらに支えることになるでしょう。
参考情報