ポンガミア試験植林開始
2025-01-09 14:27:24

持続可能な航空燃料の未来を切り拓くポンガミア植林の試み

持続可能な航空燃料の原料確保に向けた挑戦



出光興産株式会社は、2024年1月から豪州クイーンズランド州において、持続可能な航空燃料(SAF)として期待されるポンガミアの試験植林を始めることを発表しました。この取り組みは、HEFA(Hydroprocessed Esters and Fatty Acids)技術を用いるSAFの生産に向けたもので、同社が日本企業として初めて行う試みです。

ポンガミアの可能性


ポンガミアは、マメ科に属する植物で、東南アジアやオセアニアを中心に分布しています。さらには、油収量効率が非常に高いため、SAFの原料としての活用可能性が期待されています。これまでのところ、ポンガミアは商業的な栽培が行われておらず、その生産が安定するためには優良品種の育成や栽培技術の確立が不可欠です。

今回の植林には、すでにポンガミアの栽培に関する豊富な知見を持つアメリカのTerviva社の協力が得られており、約50ヘクタールの土地で実施されます。これは東京ドーム約11個分に相当し、当該地域の石炭鉱山の周辺に位置しています。

目指すべき未来


出光興産は、2030年までに年間50万kLのSAF供給体制を構築する計画を進めています。この目標を達成するため、同社は徳山事業所において2028年度からHEFA技術を用いた25万kLのSAF生産を目指しています。ただし、SAFの需要が急増する中で、原料の供給が困難になることが予想されており、その確保が急務となっています。ポンガミアの栽培とその利用は、こうした課題解決のための有望な戦略と考えられています。

環境への配慮


ポンガミアは、食用に適さない非可食の油糧作物であり、肥料への依存度が低く、自生することができる強い植物です。栽培時には肥料がほとんど不要で、また土壌改良にも寄与することが期待されています。さらに、ポンガミアは単位面積当たりの油収量が高く、CO2排出量も少ないため、環境負荷が低いエネルギー源としても注目されています。

未来への展望


この試験植林を通じて、SAFの生産に際する長期的かつ安定した供給チェーンの確立が目指されています。そして、将来的にはポンガミアに関連する様々な副産物の生産や、カーボンクレジットの創出、バイオマス発電所向けの利用、さらには家畜飼料としての活用など、多角的な利用法が検証される見込みです。

出光興産のこのプロジェクトは、航空業界が抱える環境への負担を軽減するための大きな一歩となることでしょう。持続可能なエネルギーの未来に向けた新たな挑戦が、どのように進化していくのか、今後の動向に目が離せません。


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会社情報

会社名
出光興産株式会社
住所
東京都千代田区大手町1-2-1
電話番号
03-3213-3115

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