不動産業界におけるDXの実態
近年、業界全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。特に不動産業界においては、アットホーム株式会社が2025年に実施した調査結果が新たな情報を提供しています。国内の不動産会社の多くがDXの導入に取り組んでいることが明らかになり、業界の変化は急速に進行しています。
調査概要
この調査は、アットホームに加盟する全国の不動産会社を対象に、2025年1月28日から2月4日の期間に実施されました。調査対象は1171社で、インターネットを通じてアンケートが行われました。
DXへの取り組み状況
調査結果によると、DXに「取り組んでいる」と回答した不動産会社は13.4%、また「まだ取り組んでいないが検討中」という回答が41.8%に達しました。これらを合計すると54.2%が、何らかの形でDXに関心を持っていることを示しています。これは業界全体がデジタル化に向けて前向きであることの証拠です。
DXの目的
多くの不動産会社がDXについて考える中で、その主な目的は「業務効率化」と「生産性向上」であることがわかりました。約50.9%がこの理由を挙げており、業界トレンドへの対応や働き方改革、顧客満足度向上といった理由も重要視されています。
導入されているDXツール
調査によると、DXツールが導入されている不動産会社は約22.6%となっています。最も一般的な業務は「物件募集・管理」で、次いで「重要事項説明」や「入居申込」等が続いています。特に物件に関する管理業務は煩雑であるため、専用のシステムが望まれています。
デジタル化の効果
DXツールを導入した不動産会社の約80%が「効果を実感している」と回答しました。主に、社内の状況や進捗を可視化できるといった情報の集約と共有のメリットが挙げられています。これにより、業務の透明性が向上し、円滑な業務運営が実現できているようです。
DX導入時の課題
一方で、「導入時に苦労したこと」としては、「操作・運用に慣れるまで時間がかかった」という意見が約半数を占めました。データ移行や整備作業に関する手間も多くの不動産会社が経験しているようです。
DX推進の予算
調査によると、DX推進の年間予算は「10万未満」が53.9%で、約8割が30万未満であるという結果が出ました。限られた資源の中で、いかに効果的にリソースを配分するかが重要です。
DX未導入の理由
本調査では、DXに取り組む予定がない不動産会社からも多くの意見が寄せられました。主な理由は「DXに関する知識や経験が不足している」というもので、33.6%がこの点を挙げています。人手不足や予算面での制約も影響しているとのことです。
今後の展望
DXに取り組む予定がない企業も、物件募集や画像管理の業務には興味を示しており、未来にはさらなるデジタル化への関心が高まることが予想されています。不動産業界の次なるステップとして、さらなる技術の導入と業務改善が望まれます。
この調査結果を参考に、不動産業界のDXの波に乗ることが求められています。効率化や生産性向上の目標だけでなく、顧客満足度の向上や業務の革新に向けた取り組みが重要です。アットホームは、今後もこの分野での調査を続け、新たなデータを提供していくでしょう。