飲料業界が取り組む持続可能な社会の実現に向けた新たな挑戦
昨年11月、アサヒ飲料や伊藤園、キリンビバレッジ、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サントリー食品インターナショナルの5社が、飲料業界全体で持続可能な社会の実現に向けた「社会課題対応研究会」を設立しました。この研究会は、物流2024年問題や温室効果ガス(GHG)排出量削減、食品ロス問題など、業界全体が直面する重要な社会課題を協力して解決するための取り組みを進めています。
持続可能な取り組みの背景
環境への配慮がますます求められる中、飲料業界も従来の枠を超えた協力が必要です。この研究会は、物流や包装資材に関する問題を業界横断的に検討し、持続可能性を向上させるための具体的な施策を探っています。以下に、今後の重要なテーマを挙げます。
1. 納品時の賞味期限緩和
現在、製造ロットを守るために厳格な納品ルールが運用されていますが、物流2024年問題によるトラックドライバー不足が懸念されています。特に賞味期間が長い飲料においては、納品時のルールを緩和することで食品ロス削減に寄与できると考えています。当研究会による調査では、消費者はペットボトル飲料の賞味期限に対して比較的寛容であることが示されています。この新しい納品ルールにより、物流の効率化と食品ロスの削減を同時に推進できる可能性があります。
2. 物流負荷の改善
飲料業界の5社は、他社や異業種と協力し、共同配送や往復輸送を行う取り組みを進めています。これにより、物流コストを削減し、効率的な運送体制を確立することを目指します。さらに、新たな物流負荷軽減策も検討中です。
3. ペットボトル・キャップの軽量化
従来のペットボトルの軽量化に向け、飲み口の長さを短くすることが検討されています。この改善により、日本市場での品質と利便性を維持しつつ、資材の使用量を大幅に削減できるとされています。具体的には、約5万トンの樹脂使用量と約10万トンのGHG排出量削減を見込んでいます。
4. 容器包装資材の効率化
バリューチェーン全体でのGHG排出量削減を目指して、キャップやラベルなど全ての包装資材の効率化を検討することが必要です。これにより、資源の無駄が減り、環境負荷が低減することが期待されます。
5. サプライヤー企業との再エネ利用促進
再生可能エネルギーの利用を促進するため、サプライチェーン全体での協力が重要です。サプライヤーが余剰電力を供給できる新たなスキームを構築し、再エネの利用を推進することで、GHG排出量削減を実現することを目指します。
今後の展望
「社会課題対応研究会」は、飲料業界5社が力を合わせて、持続可能な社会の実現に向けた具体的な活動を続けていきます。農林水産省などとも連携しながら、現状の問題点を直視し、改善への道筋を模索していく方針です。
持続可能性の確保と社会的責任の遂行を両立させるため、これらの取り組みが実を結び、より良い未来を構築することが期待されます。今後も各社の活動から目が離せません。