はじめに
最近、TIS株式会社とインドネシアのAINO社が共同で開発した新しい交通決済パッケージ「Acasia2.0」が、国内の公共交通機関においてNFC(近距離無線通信)対応のQRコード決済を導入することが発表されました。これは、2025年3月14日に始まる予定のプロジェクトで、インドネシアの現行のQRコード決済システムを大きく進化させるものです。
プロジェクトの背景
インドネシアでは、自動車やバイクが主な交通手段ですが、交通渋滞や大気汚染が深刻な問題となっています。政府は公共交通機関の利用を促進するため、キャッシュレス決済の導入を進めています。その中で、QRコードを活用した決済方法が一般的になっていましたが、スマートフォンで表示されたQRコードが読み取られにくいケースが多く、決済処理に時間がかかることが問題視されていました。そんな中、TISとAINOが開発した「Acasia2.0」によって、この状況が改善されると期待されています。
NFC対応の利点
従来のQRコード決済では、改札でQRコードを読み取る際に最大8秒を要し、それが交通の流れを滞らせていました。「Acasia2.0」では、NFC技術により、スマートフォンを改札にかざすだけで決済を完了できる仕組みを導入しました。これによって、処理時間を1秒以内に短縮し、乗客の混雑を緩和し、スムーズな交通の流れを実現することが可能になります。
どのように機能するのか
AINOは、NFC技術を活用して、利用者のスマートフォンから改札やバス車載端末で決済情報を読み取り、それをQRISフォーマットに変換します。その後、運賃情報を追加し、Acasia2.0のPayment Gatewayを介して決済データを処理します。これにより、導入予定の都道府県では、これまでにないスピーディな決済が実現されるのです。
Acasia2.0の機能
「Acasia2.0」は、インドネシアの主要都市で既に実績を持ち、様々な公共交通機関に対応しています。具体的には、乗降時にICカードやモバイルQRコードをかざすことでキャッシュレスでの精算が可能です。また、運賃精算を行うためのアプリケーションの提供や、様々なチケットバリデーターとの接続が可能で、柔軟な運賃設定も実現します。さらに、交通事業者のバックオフィスへの情報提供機能も強化され、運行や売上に関するダッシュボード機能を通じて、経営の効率化が期待できます。
未来への展望
今後、インドネシアの複数の都市で実証実験を行い、その後は2025年度中に15都市で本格的な運用を開始する予定です。また、「Acasia2.0」はASEAN諸国への展開も視野に入れており、交通決済プラットフォームに集約されるビッグデータ活用を通じて、都市マネジメントの新たな可能性も追求しています。
まとめ
TISとAINOが共同開発した「Acasia2.0」は、インドネシアの公共交通機関に新たな光をもたらすプロジェクトとして大きく注目されています。NFC技術による決済のスピードアップが実現すれば、インドネシアの交通事情は大きく改善され、より多くの人々に便利な公共交通機関の利用が促進されることでしょう。