最近、株式会社Laboro.AIとその子会社であるCAGLAが、2025年11月に奈良で開催される「ISWC 2025 Challenge Track」において、主著論文が採択されるという喜ばしいニュースが舞い込んできました。この研究は、AIと知識グラフの交差点に位置する重要なテーマを扱っており、業界内外から注目を集めています。
ISWC 2025 Challenge Trackは、国際セマンティックウェブ会議の一環であり、知識処理システムに関する共通のタスクを競い合うためのプラットフォームです。当社は、その中で「LLMs4OL」と呼ばれるグローバルイベントに参加し、大規模言語モデルを活用したプロジェクトに取り組みました。
この研究では、特に2つの重要なタスクに着目しました。一つ目はタスクAで、ドメイン固有の文書から関連性の高い用語を抽出し、オントロジーの構築に役立てるものです。二つ目はタスクCで、抽出した用語間の関係性を明らかにし、より広いまたは具体的な概念の階層を形成することを目的としていました。
当社とCAGLAのエンジニアからなる協働チームは、これらのタスクにおいて、精緻に設計されたワークフローとプロンプトを用いて、軽量ながらも高効率なシステムを構築しました。その結果、タスクAでは見事総合1位、さらにタスクCにおいても特定のドメインにて2位を獲得しました。この成果は、手動作業を極力減らし、非常に強力な結果を得るための独自のアプローチによるものです。
現代のビジネス環境において、企業は文書、メール、マニュアル、報告書など、多様な形式で価値ある情報を保有しています。しかし、これらは多くの場合、非構造化された形で存在し、組織内での情報活用が難しくなることがしばしば見受けられます。知識グラフの活用は、その解決策として急速に注目されています。知識グラフは重要な概念を相互に結びつけ、それらの関係を可視化することで、情報の検索と再利用を効率的に行うことを可能にします。
知識グラフの中心に位置するのがオントロジーで、これは主要な用語やその属性、関係の種類を明確に定義します。この一貫したフレームワークにより、特に異なる情報源を統合する際に、知識グラフの一貫性を保ちながら、さらなる明瞭さをもたらします。
今回の論文採択及び受賞は、企業の散在する知識を整理し、活用推進する新たな技術が国際的な評価を受けた証です。私たちは今後も、LLMと知識グラフに関する研究を深化させ、企業価値の向上に貢献できるよう努めていきます。
また、当社エンジニアリング部は、LLMを駆使して完全自動で知識グラフを構築する作業にも取り組んでいます。このプロジェクトでは、文書データからキーワードや関係性を抽出するだけでなく、オントロジーの継続的な精緻化や新しい情報の統合を自動化し、高品質な知識グラフの構築と維持にかかる時間とコストを大幅に削減することを目指しています。
また、CAGLAとの協力は今後も続き、当社の生成AI/LLMの知見とCAGLAの知識グラフ技術を組み合わせて新たな研究開発やソリューションの創出に邁進していく所存です。このような協働研究を通じ、企業にさらなる価値を提供できることを目指しています。