イーアス高尾での大規模配送ロボット実証実験
2025年1月28日から30日、東京都八王子市のイーアス高尾にて、株式会社QBIT Roboticsと大和物流株式会社が共同で店舗配送の実証実験を行いました。この実験は、配送ロボット「DR2」を用いて、商業施設内での荷物配送の安全性や運用の課題を明らかにし、今後の物流効率化を図ることを目的としています。
実証実験の背景
大和物流は、商業施設やオフィスビルでの館内物流業務を担っていますが、最近の人口減少による人手不足の影響で、その運営モデルを見直す必要が生じています。こうした背景から、配送ロボットによる自動化の可能性を探求し、その実用性を検証することにしました。
実証の目的
この実証実験の目的は以下の通りです。
- - 不特定多数の来館者が行き交う中での配送ロボットの安全性を検証する。
- - テナント向けの配送業務自動化の実現性を確認する。
- - 館内配送における運用課題を抽出し、それに対処する方法を模索する。
実験内容と工程
実験では、荷捌き場からバックヤードを経由し、3つのテナントへ小型荷物を届ける配送作業を行いました。また、インフォメーションカウンターから防災センターへの拾得物の配送も実施しました。これにより、実際の環境下でのロボットの動作が確認されました。
実証実験の結果
実証の結果、以下のような成果が得られました。
- - ロボットには、来館者に対して音や光で注意喚起を行う装置が搭載されており、これにより非常停止などのトラブルを回避することができました。安全性が確認された点は、実証の大きな成功と言えます。
- - 施設のバックヤードにあるドアの開閉問題については未解決の課題が残ったものの、今後の改善策としてロボットのカスタマイズ条件が確認されました。これにより、ドアが自動で開閉できるようになる可能性が見えてきました。
- - 最後に売り場への配送については、店舗のレイアウトを見直すことで、その実現が可能であることが示されました。
DR2のスペック
配送ロボットDR2は、以下のような特長を備えています。
- - サイズ: 高1032mm、幅536mm、奥行523mm
- - 最大積載重量: 45kg
- - 最高速度: 1.2m/s
- - 充電時間: 4-5時間
- - 稼働時間: 20時間
- - 段差対応能力: 18mm
- - 登坂能力: 10°以下
- - 溝超え能力: 30mm
また、複数のセンサーにより人や物を認識し、自動的に停止や回避を行うことができます。この技術により、安全で効率的な配送が期待されます。
会社概要
株式会社QBIT Robotics
- - 設立: 2018年1月
- - 事業内容: サービスロボットの開発・提供、ロボット導入コンサルティング。
- - 代表者: 中野浩也
大和物流株式会社
- - 設立: 1959年8月
- - 事業内容: 様々な業界に向けた総合物流業を展開し、全国に6つの商業施設で館内物流を運営。
- - 代表者: 杉山克博
この実証実験は、今後の商業施設における物流の未来をも見据えた重要な第一歩です。私たちの生活にどのような変化をもたらすのか、引き続き注視していきたいと思います。