水道水の残留塩素が毛髪に与える影響
株式会社LIXILは最近、新たな研究結果を発表し、水道水に含まれる残留塩素が毛髪にどのような影響を及ぼすかを明らかにしました。この研究によると、水道水中の残留塩素が毛髪の表面だけでなく、内部のタンパク質にも酸化的な損傷を与える可能性があることが分かりました。そのため、残留塩素を除去した浄水が毛髪ダメージの抑制に寄与する可能性があるとされています。
研究の背景
LIXILの水に関する研究は、水道水の品質向上を目指しています。特に、残留塩素の影響についての研究に注力しており、これまでにも毛髪の表面に対してどのように影響が及ぶのかを調査してきました。今回の研究では、さらなる一歩を踏み出し、毛髪内部のタンパク質への影響を探ることを目的としました。
研究の方法
研究では、同じ毛髪に水道水程度の濃度の残留塩素を曝露させ、その毛髪の表面と内部の変化を観察しました。使用した手法は、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)や顕微フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)など、詳細な分析が可能な手法です。これにより、根拠を持って研究結果を導き出すことができました。
結果と考察
研究の結果、残留塩素に曝露された毛髪では、表面においてタンパク質の酸化や分解が進行していることが確認されました。具体的には、Cl(塩素)の蓄積や、酸化を示唆するカルボニル基の増加が見られました。一方、残留塩素を取り除いた浄水に曝露した場合、これらの変化は見られませんでした。
このことから、残留塩素が毛髪に及ぼす影響は深刻であり、特に毛髪表面では酸化作用が顕著であることが示唆されています。また、毛髪の内部であるコルテックスにおいても、酸化の兆候が見られることから、残留塩素の悪影響が内側にまで及ぶ可能性があると言えます。
まとめ
この研究からは、水道水中の残留塩素が毛髪にダメージを与える要因の一つであり、浄水の利用が毛髪の健康を守る手段となる可能性が示されました。具体的には、残留塩素を除去した水を使うことで、毛髪のタンパク質の酸化を軽減でき、髪本来の美しさを保つ助けになるかもしれません。LIXILは引き続き、浄水技術の研究を進め、人々の生活の質向上に貢献することを目指しています。
この研究は、日本薬学会第145年会(2025年3月26日~29日)にて発表され、今後のヘアケアや生活習慣に新たな視点を提供することでしょう。私たちの毛髪を守るため、浄水の利用がより広がることを期待しています。