3Dプリントアート
2025-12-05 16:52:57

3Dプリントで生まれた「鼓動のささやき」エ artが施設とともに息づく空間

3Dプリントアート「Whispering Pulse」の誕生



2019年、東京都荒川区に本社を置く株式会社積彩が制作した3Dプリントアート「Whispering Pulse -鼓動のささやき-」が、公益財団法人鉄道弘済会が新築した「麹町弘済ビルディング」のエレベーターホールに設置されました。この作品は、この場所特有の特徴を生かしたサイトスペシフィック・アートとして注目を集めています。

サイトスペシフィック・アートの魅力



設置場所である麹町弘済ビルディングは、四季折々の植栽による美しい風景が特徴です。積彩は、その自然観をエレベーターホールに取り込むことで、室内にいても外の風景や季節の移り変わりが感じられるような空間を作り出しました。ビルの位置する場所は、新宿通りのカーブ交差点であり、地域のエネルギーが集まる地点でもあります。この作品のフォルムは、訪れる人々の動きや街の流れを可視化しており、緩やかな曲線と曲面の重なりが美しいハーモニーを生み出しています。

「Whispering Pulse」のコンセプト



「Whispering Pulse」は「働く人、訪れる人、ここに集う人々が繋がり、新たな発見や価値を創造する場所」というビルのコンセプトに共鳴しています。このアートは、その場所特有のエネルギーを表現するもので、他では体験できない独自の価値を提供しています。

実験と対話のプロセス



この作品の制作は、初期の実験から始まります。素材の組み合わせや形状の方向性を探るための試作が繰り返され、最終的なコンセプトが導き出されました。確定後も、3Dプリントによる実寸試作を続け、クライアントや設計チームとの対話を重ねながら進行。一つひとつの要素を慎重に検証し、完成度を高めていくプロセスは、作品がどのように生まれたかを物語っています。

大型曲面アートの実現



「Whispering Pulse」は、3Dプリントを活用した大型作品の中でも最大規模。約30台の小型3Dプリンターを使い、横幅2.5m、高さ3.6mに及ぶ300枚のパネルを製造しました。それぞれの形状と色合いを微妙に変化させることで、多様な表現を持つダイナミックなフォルムを実現。小型プリンタを用いたことで、個性が豊かなパネルが一体となった表現が生まれました。

新しい表現の探求



積彩は、日々の研究と試みを通じて、最適な表現を見つけ出しています。独自の3Dプリント着色技法により、同じ素材で多様な表現を生成し、積彩でないと生まれない独特の視覚体験を提供しています。「Whispering Pulse」では、三色の樹脂を同時に積層し、光や観点によって異なる色合いを楽しむことができます。

この作品によって、訪れる度に異なる印象を受ける体験が生まれ、彫刻的な立体感と繊細な表情が共存しています。その背後には、積彩が長年積み重ねてきた研究の成果があります。

これからも積彩は、3Dプリントによって新しい表現を追求し続け、私たちの生活空間に新たな価値をもたらす取り組みを続けていくでしょう。

作品概要



作品名: Whispering Pulse -鼓動のささやき-
制作年: 2025年
材料: PLA樹脂、アクリル、ラッカー塗料、合板
サイズ: 3,598×2,498mm

制作: 大日方伸(株式会社積彩)
アートディレクション: アートプレイス株式会社
設置場所: 公益財団法人 鉄道弘済会麹町弘済ビルディング エレベーターホール(東京都千代田区)
撮影: 加藤健

大日方 伸のプロフィール



1996年東京生まれ。慶應大学を卒業後、東京藝術大学で助手を務め、2022年に株式会社積彩を設立。3Dプリンティングとデザインの専門家として、「一点ものがあふれる社会」の実現を目指し、数々の受賞歴を持つアーティストです。


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会社情報

会社名
株式会社積彩
住所
東京都荒川区東日暮里4丁目34−2 YMビル
電話番号

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