池坊専宗が創り出す新たな伝統工芸の魅力
華道家であり写真家である池坊専宗氏がこの春、彼のユニークな視点で捉えた京都の伝統工芸を集めた写真集『よい使い手 よい作り手/Art of Craft, Art of Use』が、5月25日に発売される。この作品は、京都伝統産業ミュージアムの協力を得て、66の工房を巡り、その匠の技を写真に収めたものである。
京都の歴史と伝統工芸の現状
平安京が建都されてから1200年以上も続く京都の伝統工芸は、華道や茶道、能、舞等の文化の担い手である工芸士たちによって支えられてきた。不変の技術と芸術性を誇る一方、近年、ライフスタイルの変化により、伝統工芸は存続の危機に瀕している。この危機感の中で、池坊氏は61ヶ月にわたるプロジェクトを通じて、次世代に伝える責任感を強め、全国や海外にその魅力を発信することを目指している。
写真集の内容
『よい使い手 よい作り手』は、A4版160ページで構成され、全編カラー。各工房の匠の技とその伝統工芸品を写真で紹介し、池坊氏自身の随想も含まれた興味深い内容となっている。また、井上安寿子氏(京舞井上流)や金剛龍謹氏(金剛流若宗家)、Julia Yamaneとの対談も収録され、知識と経験を深める機会を提供している。
さらに、全66品目の伝統工芸品が日英併記で紹介され、広く理解されるよう工夫がなされている。
クラウドファンディングによる支援
このプロジェクトは、クラウドファンディングを通じて実現したもので、425件の支援を受け、合計8,048,000円が集まった。資金は写真集の制作に使われ、支援者にはお礼状や写真集の他、特別な工芸品のリターンが用意されている。支援者は、5月20日頃から順次写真集を受け取ることができる。
購入方法と販売場所
新しく生まれ変わった伝統工芸の魅力を是非手に取って味わってほしい。『よい使い手 よい作り手』は、京都伝統産業ミュージアムや京都蔦屋書店、日本華道社、オンライン販売(MOCAD ONLINE SHOPやAmazonなど)で購入可能。価格は8,500円(税別)だ。
池坊専宗のプロフィール
池坊専宗氏は、華道家元池坊の次期家元であり、従来の枠にとらわれない活動を行っている。東京大学法学部を卒業後、様々な場で美しさと日常の瞬間を追求する姿勢が評価されてきた。彼の信条は「光を感じ、草木の命をまなざすこと」で、日々の生活の中で自然の美に触れ合うことを大切にしている。
まとめ
この新しい写真集『よい使い手 よい作り手』は、京都の伝統工芸の素晴らしさを伝える重要な記録であり、次世代への架け橋としての役割を持っている。池坊専宗の視点から見える匠の技を感じ、未来に向かって発信する知恵を受け取るために、是非この機会を見逃さないでほしい。