津南醸造が語る「吟醸造り」とその理念
新潟県津南町にある津南醸造株式会社が、2025年7月17日(木)にホテルニューオータニ長岡で開催された「第30回新潟県酒造技術研究発表会」で、「私の吟醸造り」というテーマのもと、杜氏の滝沢昌哉が発表を行いました。この発表会は、新潟県酒造技術研究協議会が主催し、約250名の酒蔵関係者が集まる重要なイベントであり、参加者たちは各蔵の最新技術や取り組みを学び合う機会となりました。
吟醸造りの背景と発表内容
滝沢杜氏の発表では、津南醸造が掲げる「Brew For Future ~共生する未来を醸成する~」という理念のもと、資源循環(Circular Economy)、地域最適化(Local Optimization)、多様な価値の開放(Open to Diverse Values)という三つの方針に沿った取り組みが紹介されました。これにより、未来志向の酒造りを目指す姿勢が伺えます。
具体的な取り組みとしては、まず製麹で「ひかみ吟醸用」の種麹を使用し、栗の香りを意識した製麹操作を行っていることが挙げられます。手作業による品温管理を徹底し、酒母には協会1801号酵母を使用することで、酵素活性を最大限引き出すための温度と糖化管理に注力しています。また、醪管理では麹の酵素力に応じたきめ細やかな調整が行われ、理想とする酒質を追求しています。
出品酒に向けた徹底した衛生管理
上槽後の出品酒に関しても、津南醸造は衛生管理や低温貯蔵を徹底し、理想的な酒質を追求するための工程改善に努めています。滝沢杜氏は自身の経験を基に、どの工程も酒質に与える影響が大きいことを再認識し、それぞれの工程における意味を見直しました。これにより、感覚的な判断の重要性を再確認し、技術研鑽の成果を最大限に活かしています。
活発な質疑応答と業界の交流
発表会の中で滝沢杜氏のプレゼンテーションに対し、参加者から多くの質問が寄せられ活発な議論が展開されました。このことは、酒造業界の関係者同士の交流や意見交換が行われる貴重な機会となり、現場の声を聞くことでより深い理解が得られたことを証明しています。
津南醸造の理念と未来への取り組み
津南醸造はこれからも伝統的な技術を大切にしながら、持続可能性を重視した酒造りを進め、地域や社会への貢献を目指していくといいます。新潟県中魚沼郡に位置するこの酒蔵は、標高2,000m級の山々から湧き出る天然水を仕込み水として使用し、地元産の酒米「五百万石」や「魚沼産コシヒカリ」を用いた酒造りを特徴としています。未来に向けた酒造りへの取り組みが、どのように展開していくのか、今後の目が離せません。
まとめ
今回の発表は、津南醸造の技術の進展だけでなく、持続可能な未来を見据えた酒造りの重要性が強調されました。杜氏としての経験を基にした発信が、今後の酒造業界においても大きな影響を与えることでしょう。