シミ形成の秘密を解き明かす新技術
ポーラ・オルビスグループに所属するポーラ化成工業株式会社(以下、ポーラ化成)は、
シミの形成要因をAI技術により特定する画期的な研究を実施しました。データからシミ形成の違いを突き止め、個々に最適な対策を提案するという新しいアプローチが注目を集めています。
シミの多様性とその要因
シミと言えば、年齢とともに増加する肌の悩み。しかし、その見た目は様々であるだけでなく、内部の状態も異なることが明らかになっています。色素のメラニンやそれを生成するメラノサイト、さらにはメラニンを貯蔵するケラチノサイトなど、多くの要因がシミの形成に絡み合っています。
いわば、シミも一つの謎であり、個々のシミが形成される背後には、何らかの特殊な生理的要因が影響しているのかもしれません。これまで、シミの治療法は一般的でしたが、個人差を理解し対策を講じる必要性が高まっています。
新たなアプローチ:マイクロバイオプシーとAI
このような状況において、ポーラ化成は「
マイクロバイオプシー」という微細な皮膚サンプルを採取する手法とAI技術を融合させました。マイクロバイオプシーは従来の方法に比べ、痛みが少なく、より正確に皮膚の状態を把握することができます。この手法を用いることで、シミが発生している部分からわずかに皮膚を採取し、その遺伝子発現量を詳細に測定することに成功しました。
痛みの少ない皮膚サンプルの取得
マイクロバイオプシーは、直径約250マイクロメートルの極細針を使用し、必要最小限の皮膚細胞を採取。これにより、従来のパンチバイオプシーに比べ、より早く回復し、特定の部位の状態を経時的に追うことが可能です。皮膚細胞が収集されることで、DNAやRNA、タンパク質を分析し、シミの発生に関連する要因の把握が促進されます。
AIシステムの構築とその成果
ポーラ化成では、収集した遺伝子情報をもとに、シミの形成要因をスコア化し、AIシステムを構築しました。これにより、シミごとの形成要因を正確に推定し、遺伝子間の複雑な関係を解析することが可能になりました。
レーザー施術の効果もこのAIを用いて評価され、大きな成果が得られており、施術前後でシミ形成要因の違いが確認されるなど、具体的な結果を示しています。今後は、より一層、個々のシミに対応した対策を実現するための研究が進められます。
共同研究とその意義
今回の研究は、医療の専門家である船坂陽子医師との共同研究によって進展しました。船坂医師は、シミのメカニズムを解明する並行して、美容皮膚科の発展にも寄与してきた確かな実績を持っています。
未来のシミ対策へ
このように、ポーラ化成では「シミ形成要因を個々に特定することで、最適なケアを提案できる」ような体制を整えつつあります。これにより、私たちの肌の健康はもちろん、美容においても新たな可能性が広がることでしょう。シミの悩みと向き合うすべての人々にとって、朗報とも言えるこの技術の普及に期待がかかります。