IHIとICEYEが共同で地球観測衛星コンステレーションを構築
フィンランドのICEYE社と日本のIHIが手を組み、地球観測衛星のコンステレーションを構築するための契約を締結しました。この取り組みは、安全保障や公共および商業利用を念頭に置いており、両社はこのプロジェクトに向けて協力を始めています。
合成開口レーダー(SAR)衛星の導入
IHIは、ICEYE社の優れた合成開口レーダー(SAR)衛星を用いた地球観測コンステレーションを日本国内に展開することを目指しています。具体的には、まず4基のSAR衛星を取得し、2026年度の初頭からデータの取得を開始する計画です。これにより、高精細な衛星データを活用した様々な需要を発掘し、新たなユースケースを生み出すことが期待されています。
さらに、契約にはオプションとして追加で20基の衛星を製造・運用することも含まれており、最終的には最大で24基の衛星を揃えたコンステレーションの構築を目指しています。これにより、日本国内のデータ利用が拡大し、国家安全保障や経済安全保障に対する貢献が期待されます。
国内での衛星製造拠点の設立
今後の計画として、IHIとICEYEは日本国内での衛星の組立や試験を行う予定です。これにより、衛星製造拠点を整備し、日本の技術力を活かした地球観測衛星の運用を実現していきます。新しい技術が導入されることにより、日本が衛星データの領域で先進的な地位を確立することを目指します。
多様なセンサーを持つ衛星群の構想
最終的には、このコンステレーションに SAR衛星に加え、光学センサー、次世代自動船舶識別システム (VDES)、電波収集 (RF)、赤外線 (IR)、およびハイパースペクトルセンサーなど、多様なセンサーを搭載した複数の衛星が追加される構想もあります。これにより、陸上だけでなく海上における作戦活動においても、有効な目標の検出や追跡能力が向上し、さらなる国家および経済安全保障の強化に寄与することが期待されます。
IHIとICEYEのコメント
IHIの井手博社長は、この取り組みが急速に変化する世界において、安全で安心な社会を実現するための重要なステップであると強調しています。ICEYEのラファル・モドジェフスキCEOも、日本との関係強化と技術提携が両国の安全保障をより強固にすると述べています。
地球観測衛星の未来
ICEYEは、SAR衛星技術のリーダーであり、様々なインダストリーに向けて、持続的にモニタリングを行うことで迅速かつ正確なデータ提供を実現しています。今後、IHIとの協力を通じてさらに多くの利用ケースが生まれる可能性があります。意思決定の質を高めるための情報を提供し、社会の多様なニーズに対応する役割を果たしていくことが期待されます。
このように、IHIとICEYEの協力は、地球観測における新たな価値創造の取り組みとして、多くの分野での課題解決へとつながる道筋を描いています。