エネルギーを燃やすベージュ脂肪細胞の秘密
株式会社コーセーが、バイオベンチャーDIVA Expertise社と共同で行った研究によって、肌の深層に存在する脂肪細胞が、エネルギーを燃焼させる「ベージュ脂肪細胞」へと変わることで、肌のバリア機能が強化されることが明らかになりました。この研究は、2026年に開催される第26回日本抗加齢医学会総会でも発表される予定です。
1. 研究の背景
私たちの肌は、表皮、真皮、皮下組織という三層構造になっており、それぞれの層には異なる役割があります。特に皮下組織を形成する脂肪細胞には、エネルギーを貯蔵する白色脂肪細胞とエネルギーを燃焼するベージュ脂肪細胞の二種類があります。健康的な生活習慣によって白色脂肪細胞がベージュに変わることが可能ですが、これらの脂肪細胞がどのように肌に影響を与えるかは長らく不明でした。
- - 生活習慣の重要性: 運動不足やカロリーの過剰摂取は、脂肪細胞の変化に直結します。
2. 研究成果
今回の共同研究では、ヒト皮膚の培養評価において、ベージュ脂肪細胞の分泌物が肌に与える影響を検証しました。特に、以下の二つの重要な発見がありました。
a. フィラグリンの増加
ベージュ脂肪細胞を培養したところ、表皮の保湿に関与するフィラグリン(FLG)の量が増加しました。これは、表皮のバリア機能を維持するために非常に重要です。
b. 小胞体ストレスの軽減
さらに、表皮バリア機能の低下に繋がる指標である小胞体ストレスの指標、BiPの量が減少したことも確認されました。このことから、肌の健康を保つために、ベージュ脂肪細胞が重要な役割を果たしている可能性が高いことがわかりました。
3. 遺伝子レベルの検証
脂肪細胞の分泌物の影響を遺伝子発現レベルで確認すると、ベージュ脂肪細胞は白色脂肪細胞よりも、HSPA5やPPP1R15Aといった小胞体ストレス関連遺伝子の表現量が低く、逆にFLGやCASP14など肌のバリア機能を助ける遺伝子の発現量が増加しました。これらの結果は、肌の健康に与えるベージュ脂肪細胞の影響をより一層明確に示しています。
4. 今後の展望
今回の研究によって、脂肪細胞のベージュ化が肌バリア機能の強化に寄与する可能性が示唆されました。これはスキンケアの新たな方向性を示唆しており、生活習慣の改善が肌の質に良い影響を与えることを改めて教えてくれます。今後は、脂肪組織と肌との相関関係をより深く研究し、様々な肌の悩みに対応できる新製品やサービスを展開していく予定です。