グリーンコープ共同体が国産率100%肥料を販売開始
福岡市博多区に本部を置く一般社団法人グリーンコープ共同体は、西日本を中心に活動している16の生協から成り立っています。このたび同団体は、自ら直営する農場から生産する国産率100%の肥料の販売をスタートしました。この取り組みの目的は、世界的な情勢変化による輸入価格の影響を受けず、安定して持続可能な肥料供給を確保することです。
肥料価格の高騰がもたらす課題
最近の統計によると、肥料の価格は依然として高止まりしています。農林水産省の「農業物価統計調査」によれば、2020年の平均価格を100とした場合、2023年4月には139.1に達しています。日本の農業で使用される肥料の多くは輸入に依存しており、特にカリウムやリン、窒素などの原材料が主な輸入品です。このため、国際情勢の変化によって肥料価格の高騰が続いており、これは直接的に米などの農産物の価格上昇に繋がるため、農業従事者にとって大きな課題です。
安心で持続可能な食料供給を実現するためには、肥料の安定供給が必要不可欠です。グリーンコープはこの現状を踏まえ、国産肥料の生産体制を確立し、地域農業を支援します。
循環型農業への取り組み
グリーンコープは肥料だけでなく、地域での循環型農業全般に取り組んでいます。特筆すべきは、耕作放棄地を再活用し、トウモロコシを生産、これを乳牛の飼料として活用している点です。また、昨年には、年間15,000トン規模の国産飼料を生産するTMRセンターも設立しました。
このように、グリーンコープの目指すのは「地域循環型農業」。牛乳や飼料、肥料を地域で生産し流通させることで、コストを抑えつつ安全な農産物を提供します。さらに、輸送距離が短いため、温室効果ガスの排出も軽減できるのです。
商品ラインナップとその特徴
グリーンコープでは、国産率100%の肥料に加え、有機原料を用いた有機100%の肥料の販売も開始しています。有機肥料は、植物性や動物性の有機物を原材料とし、微生物の力を借りて養分を徐々に分解し、土壌改良の効果も期待できます。化学肥料とは異なり、環境への負荷が少ないため、持続可能な農業実現に寄与します。
全ての農産物は、このような肥料を利用して生産され、安心・安全が確保されています。
組織の背景と理念
一般社団法人グリーンコープ共同体は、2018年に設立されました。九州(福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島)や近畿(大阪、兵庫、滋賀)、中国(鳥取、岡山、島根、広島、山口)、福島の16の生協と、関連団体から成り立っています。彼らは地域に根差した生活協同組合として、「安心・安全な食べ物を子どもに食べさせたい」という母親の想いから始まり、地域を豊かにする取り組みを続けています。
まとめ
グリーンコープの国産率100%肥料と地域循環型農業の取り組みは、安定供給と持続可能性を提供することで、今後の農業の在り方を大きく変える可能性を秘めています。穏やかな環境で安心して食べられる農産物の確保を進めるグリーンコープの進展から目が離せません。