クリエイターズネクストと東京消防庁の協働プロジェクト
東京消防庁と株式会社クリエイターズネクスト(以下、クリエイターズネクスト)は、共同で取り組んだ『AIによる救急需要予測の実証実験』において、目標としていた予測精度を達成し、話題を集めています。このプロジェクトは2024年11月から始まり、試行錯誤の末に開発したAIモデルが絶対誤差率(WAPE)2.85%を記録しました。これにより、救命措置の迅速化が期待されています。
背景:東京都の救急活動の現状
東京都では救急出動件数や救急相談件数がここ数年で増加し、令和5年には過去最多を記録しました。この需要の増加は、救急隊が現場到着までの時間を延ばす要因ともなっています。救命を果たすためには、救急隊が迅速に現場に到着し、適切な処置を行う必要があります。そのため、平均所要時間を短縮するための効率的な運用が求められています。
東京消防庁は、この状況を受けて民間企業との協働によるデジタル先端技術の導入を進める『INNOVATION PROJECT』の一環として、クリエイターズネクストと共同で実証実験を進めてきました。
開発秘話:AIモデルの進化
実証実験では、2019年から2022年の実測データを活用し、AIに学習させる形でモデル開発が行われました。対象となったデータは以下の通りです。
- - 東京都における出動件数データ(2019年~2022年の4年間)
- - 人口動態データ(人口増加・高齢化に関連するもの)
- - 季節変動データ
- - 嘗ての気温データと2週間前の気温予測
- - 新型コロナウイルス関連データ
当初は設定した絶対誤差率3%未満に達することが難しく、開発チームは幾度も試行錯誤を重ねました。東京消防庁の職員が現場で感じる需要の変化も参考にし、気温の前日比と前週比などを考慮した結果、精度が向上しついに目標を達成するに至ったのです。
プロジェクトの成果
東京消防庁様からの評価も高く、プロジェクトメンバーのコメントには「賢明な経験とデータドリブンなアプローチが融合し、今回の成果が生まれた」とのことでした。クリエイターズネクスト代表の窪田氏は、技術力やデータの質・量はもちろん重要だが、現場の実情を把握することが最も大切であると強調し、「東京消防庁の職員から直接話を聞けたことが、成果の鍵となった」と述べました。
また、クリエイターズネクストは自社の特許技術を用いて今後もさらなるAIモデルの開発を進め、実際の現場での活用を視野に入れています。その展望には期待が寄せられています。
クリエイターズネクストについて
クリエイターズネクストは2004年に設立され、AI事業を中心に企業のニーズに応じたソリューションを提供しています。特に、電力市場や食品業界をターゲットにした革新的な取り組みが注目されています。昨年、JAPAN DX Player AWARD 2024の産業部門で1位を受賞したことでもその技術力が裏付けられています。
代表 窪田望のプロフィール
代表の窪田氏は米国生まれの起業家で、慶應義塾大学を卒業後、19歳で起業。その後、日本におけるウェブ解析の分野で数々の栄誉を受賞しています。自らが取得した20件を超えるAI特許を駆使し、事業だけでなく現代美術家としての活動も行っており、多方面での才覚を発揮しています。
今後のプロジェクトの展開にも注目が集まります。