訪問看護の災害対策が問われる時代:BCPの実効性を見直す
2024年4月から、訪問看護ステーションにおけるBCP(事業継続計画)の策定が完全義務化されます。このような背景の中、特に自然災害の多発する現在、各事業所は「本当に機能するBCP」を整備できているのか、再考する必要があると考えられています。
災害の教訓
2018年、倉敷市真備町にある「訪問看護ステーションあんど」は、西日本豪雨で事業所が天井まで水没し、管理者の浅沼節子さんは「情報がなければ、いのちを護る判断もケアもできない」と痛感しました。被災の影響で、紙カルテは泥にまみれ、安否確認は頼りの記憶のみ。実際の経験を通じて、自然災害に対する備えの必要性を痛感したとのことです。
BCPの形骸化を防ぐ
BCPは、単に策定することが目的ではなく、職員と利用者の安全を確保し、早期の事業復旧を目指すものでなければなりません。地域医療のインフラとしての役割を果たすためには、実効性のあるBCPが必要です。
一般社団法人全国訪問看護事業協会は、「災害時には事業所職員の命と安全を第一に守り、担当している利用者の安否確認や安全確保に尽力し、復旧・継続を目指す」という基本方針を掲げています。この方針を実現するために、自事業所のBCPを定期的に見直すことが求められます。
見直すべきポイント
現場の実態に合わせたBCP策定が不可欠です。最低限押さえておきたいチェックリストを作成し、自事業所の状況と照らし合わせて活用することが重要です。また、ICT化を進めている事業所では、非常時に備えてモバイルバッテリーや予備バッテリーの確保も忘れずに行なってください。
ICTの導入
訪問看護ステーションあんどでは、被災の教訓を受けてICT化の重要性を認識し、「iBow」というクラウド型電子カルテを導入しました。このシステムは、どこからでも必要な情報に安全にアクセスでき、災害時にも看護ケアを続ける実効性のある備えとして進化しています。
利用者ごとのハザードマップ表示
「iBow」に登録された利用者の住所から、地域のハザードマップに簡単にアクセス可能です。利用者宅や事業所周辺の災害リスクを事前に把握することで、訪問ルートや避難計画をより実践的に準備できます。
緊急時の情報共有機能
インターネットが使えない場合を考慮し、利用者の緊急連絡先リストやトリアージ表を作成する機能も備えており、特に支援を必要とする利用者を優先的に把握できるようになっています。
現場の声
浅沼さんは、訪問看護の現場で何が起こったのかや、ICT化でどのように状況が変わったのかを語るインタビュー動画も公開しています。訪問看護が「止まることなく」継続されるよう、皆さまの備えとサポートが求められています。
まとめ
株式会社eWeLLは、「ひとを幸せにする」をミッションに掲げ、訪問看護の現場を支えるパートナーとして、実効性のあるBCPの策定を促しています。これからも、突然の災害に備えて看護を途切れさせない体制を築くため、サポートを続けていきます。”