日立がシリコン量子コンピュータ向けの新技術を開発、安定度と大規模化を実現

日立が開発した新たなシリコン量子コンピュータ制御技術

日立は、シリコン量子コンピュータの実用化に向けて、不可欠な技術である「大規模化」と「計算の信頼性」の両立を図る新たな制御技術を発表しました。これらの技術は、複雑な配線の削減と安定した量子ビット制御を同時に実現するものです。今回の開発は、実用化に向けた重要なステップと位置づけられています。

新しい制御技術の概要

日立が開発した新技術は、2つの主要なアプローチから成り立っています。一つ目は、少数の信号線から制御信号を送り、高精度な制御信号を生成する方法です。このデジタル制御方式により、量子コンピュータのサイズが増加しても、配線が複雑化することなく、シンプルに運用できる構造が実現されます。

二つ目は、外部ノイズに強い制御技術で、量子ビットの状態を長期間安定させることが可能です。この技術によって、量子ビットの忠実度が従来の95%から99%以上へと大幅に向上し、計算信頼性が実証されました。

量子コンピュータの可能性

量子コンピュータは、従来の計算機では解決が難しい問題を効率的に解決する能力を持つ期待の技術です。日立は、シリコン量子ビットを高密度に配列する技術や、量子ビットを安定させるための方法も進めており、今後は理化学研究所などのパートナーと連携して、さらにこの技術の社会への実装を推進していく意向です。

技術の特長

デジタル制御による配線の簡素化

従来の方式では量子ビットの数が増加するたびに、配線が増えて形状が複雑になり、計算效率に悪影響を及ぼしていました。しかし、日立の新しいデジタル制御技術では、マトリクス回路を用いて少数の信号線を活用し、必要な信号を生成します。これにより、配線の複雑さを軽減し、簡素化を実現しました。

計算信頼性の向上

量子ビットの制御を高精度かつ安定化させることは、量子計算の精度確保に欠かせません。新たに導入されたCCD方式により、量子ビットの操作精度が従来比で大幅に向上しました。この技術は、他の量子ビットと連携して動作する際にも高い忠実度を維持します。これにより、集積型量子コンピュータの実現が加速されることでしょう。