ふるさと納税の実態調査、約3割の人が寄附先を忘却

最近の調査によると、ふるさと納税の利用者の中で、寄附先の自治体を過去に覚えていると答えた人は66%に上ります。一方で、29.2%は「ほとんど覚えていない」と回答し、4%が「まったく覚えていない」と述べました。これは、ふるさと納税が返礼品の魅力に支えられている一方で、寄附先の自治体への印象が薄れていることを示しています。

ふるさと納税制度は、地域を支援する手段として広く利用されていますが、調査からは「返礼品の内容や魅力」が重視されることが明らかになりました。特に、85%の人々が寄附先を選ぶ際、返礼品の魅力を最も重視していると回答しています。この結果は、ふるさと納税が「地域支援」よりも「お得感」を伴う商品選びへと変わっている現状を反映しています。

調査は「はじめてのふるさと納税」が全国の20代から70代以上までの男女を対象に実施したもので、合計1,009名が回答しました。調査時期は2025年7月16日から30日までで、かなりの数の人が寄附先の自治体名を記憶しているものの、約3割は何も覚えていないという結果が出ました。

寄附先を選ぶ際、最も重視されるのはやはり返礼品の内容で、次いで「還元率・コスパ」が44.6%の支持を得ています。「応援したい自治体」と「寄附金の使い道」を重視する層も約3割いるものの、全体としては返礼品に寄せる期待が高まっています。これは消費者にとって、ふるさと納税が実質的な買い物に映っていることを示唆しています。

寄附金の使い道について重視する人の中には、福祉や教育、災害支援のような地域貢献を意識する人も多いのですが、寄附によって得られる返礼品の存在が大きな動機として働いているのです。「地元・ゆかりのある地域」や「評判やレビュー」に基づいて寄附先を選ぶ傾向も見えていますが、返礼品に注目が集まる中で、地域支援の本来の意義が薄れがちな状況も懸念されています。

調査を通じて、ふるさと納税が返礼品が中心となって定着していることが分かります。寄附先自治体の印象は薄れがちですが、地域の支援という目標を意識する寄附者も確かに存在します。今後、ふるさと納税の仕組みを持続可能にするためには、寄附がどのように地域に役立っているのかを透明に伝える努力が必要です。また、自治体との良好な関係を築くことも重要な課題となるでしょう。

この調査からは、ふるさと納税の制度が単なる返礼品狙いだけでなく、地域の活性化に寄与するためのシステムとして、革新が求められていることが浮き彫りになっています。地域とのつながりを強調することで、利用者の意識を変えるきっかけを作ることが、今後の課題と言えるでしょう。