馬場まり子最新画集『ひとびと』が2025年に刊行！人々の儚さを描く新たな作品

馬場まり子の新たな画集『ひとびと』がついに刊行

2025年12月5日、美術界の注目を浴びる馬場まり子の新しい画集『ひとびと』が出版されます。これは、819人の人々を描いた作品が詰まった画集で、彼女が創作活動を通して蓄積した独自の視点が反映されています。過去の画集『ピンク幻想』から9年、また素描集『フツウの束の間』から6年を経て、本作が登場しました。

人々の一瞬を捉える

馬場まり子は、都会の雑踏から田園風景に至るまで、人々の瞬間的な姿を観察し続けてきました。彼女の作品は、ただの風景や人物の描写に留まらず、「人」というテーマをもとに、さまざまなキャラクターや状況を描き出します。街中を行き交うサラリーマンや年老いた方々、庭の手入れをする人々など、彼女が捉えた人々は、時に現実と幻想が交錯するような不思議な存在感を持っています。

名作の中には、《天草の男（ヒト）》、《アザミ》、《紫のマフラーをした人》が含まれ、これらは余白の中で浮遊するように存在します。人物たちは、まるで背景と融合してしまったかのように描かれ、優しい雰囲気を醸し出しています。さらに、彼女の描く「ひとびと」は、圧力や緊張感を感じさせることなく、描き手の「いとおしさ」が伝わってくる作品として受け止められています。

幾何学的な表現と未知の探求

馬場の創作は、単に人を描くだけではなく、不思議な形状や色彩の変化も大きな要素となっています。初期の頃の創作は、物質的な表現から始まり、そこから巨大な果物や野菜、さらには幾何学的な形状が登場するようになりました。これにより、「私たちはなぜ描くのか？」という問いが浮かび上がり、作品は常に新たな謎に満ちています。

消えゆく『ひとびと』

近年、彼女の作品はさらに進化し、特に2021年以降は「ひとびと」の表現が極端に小さく描かれたものも増えました。2メートルを越えるパネルの中で、不自然に小さな「ひと」が描かれ、透明人間のように背景に溶け込む様子が見て取れます。このような表現になることで、私たちが日々抱える消えてしまいそうな人々の儚さを、より強く感じることができるのです。