九州大学とみらい創造インベストメンツ、次世代レーザー技術の実現に向けた研究を開始
2023年10月、九州大学の濱口達史教授と株式会社みらい創造インベストメンツが共同で申請した研究テーマが、科学技術振興機構(JST)により「ディープテック・スタートアップ国際展開プログラム(D-Global)」として採択されました。このプロジェクトは、次世代のレーザー素子を開発し、実用化を目指す重要な取り組みです。
研究テーマの概要
本研究の目的は、パラメータ制御が可能な新しい垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)アーキテクチャの開発です。この技術により、波長や位相を制御できるレーザー光源を実現し、量子センシング分野における高安定で低雑音な光源を提供します。
特に、原子時計との関連性が高いこのプロジェクトでは、波長制御の課題を克服するために、共振器の長さを調整し、製造ばらつきや温度変動の影響を受けにくくするアプローチが採用されます。将来的には、得られた技術をリモートセンシングや加工技術などさまざまな分野に応用し、低コスト・高信頼性を実現する光源プラットフォームの構築を目指しています。
研究者のコメント
研究代表者である濱口達史教授は、「VCSELは小型で低消費電力という特性を持ちながら、その潜在能力が未だ十分に活用されていない。」と述べ、新たな機能として光の波長と位相を自在に自在にロックすることに挑戦し、光の操り方を革新する意義を強調しました。
また、東京都立大学の五箇繁善教授は、今回開発されるVCSELが超小型原子時計に与える影響について期待を寄せ、「新しいVCSELの特徴がどのような原子時計を生み出すのか、非常に興味深い」と述べています。
みらい創造インベストメンツの岡田祐之社長は、このプロジェクトの意義を強調し、社会に広く活用される技術へと育てることの重要性を指摘しています。このようなレーザー技術は、通信、モビリティ、エネルギーなど様々な業界に変革をもたらす可能性を秘めています。
研究の実施体制と展望
研究は九州大学とみらい創造インベストメンツの連携のもとに進行し、共同研究者として東京都立大学の教授が参加します。初期段階ではチップスケール原子時計向けの研究が優先され、その後、LiDARなどの大規模な市場への展開が視野に入れられています。
また、企業や研究機関とのネットワークを活用しながら、製造から市場開拓に至るまでのバリューチェーン構築を目指します。具体的には、初期顧客との連携を深めつつ、本技術が持つ可能性を最大限に引き出し、スタートアップとしての成長とグローバル市場への進出を実現する計画です。
まとめ
今回の研究プロジェクトは、次世代のレーザー技術の開発を通じて、量子センシングやリモートセンシング分野での発展を促進するものです。科学技術振興機構が支援することで、九州大学とみらい創造インベストメンツは、その新しい技術を社会に実装するための大きな一歩を踏み出しました。これからの進展が非常に楽しみです。