越境仕事検索の動向:求職者の意識変化と国際競争の影響
Indeed Japan株式会社が行った調査によれば、2019年から2024年にかけて、海外から日本への仕事検索割合が大幅に減少しています。一方で、日本から海外への仕事検索は増加傾向にあり、特に円安の影響が顕著に表れています。
海外から日本への仕事検索の状況
2024年4月時点での「海外から日本」への仕事検索割合は、コロナ禍前の2019年4月と比較し、約30%減少しました。この減少は、検索割合が高い上位10カ国・地域のすべてにおいて確認されており、特に米国とベトナムからの検索は約50%も減少しています。米国は日本への求人検索で最も多い国であり、占める割合は19%に達しますが、2024年には51.2%の減少が報告されています。
職種別の観点から見ると、ベトナムからの「製造」職への関心は2019年の34%から2024年には12%と大幅に減少した一方、「ソフトウェア開発」への関心は増加しています。これにより、特にデジタル関連の職業における需要が顕著に表れています。
日本から海外への仕事検索のトレンド
一方、日本から海外への仕事検索は2024年4月には2019年同月比で1.1倍に増加し、コロナ禍前の水準に回復しました。特に英国、オーストラリアへの需要が増えており、米国とカナダへの関心は減少傾向にあります。
最近のデータでは、2023年と2024年の検索では、米国での「ソフトウェア開発」が最も興味を持たれ、カナダ、英国、オーストラリアでも「飲食関連」の職が人気を集めています。円安の影響により、海外での高収入を求める日本の求職者が増えていることも背景にあります。
為替と求職者の意識
2023年以降、為替の変動が越境仕事検索に与える影響は特に顕著になっています。過去2022年までは、海外からの検索と日本からの検索が同じ方向に動く傾向がありましたが、2023年からは逆の動きを示し、インバウンド検索が減少する一方で、アウトバウンド検索が増加しています。
Indeedのエコノミストである青木雄介氏によると、この状況は円安によるものであり、求職者の選好する国や職種による影響も無視できないとのことです。特に、米国の求人では、円安であっても関心が薄れていることが明らかになっています。
結論
全体として、越境仕事検索のデータは、日本の労働市場における求職者の意識の変化を反映しています。円安や国際競争の影響を受けながら、求職者は日本国内ではなく海外での仕事を求める傾向が強まっています。この流れがどのように今後の求人市場に影響を及ぼすのか、引き続き注視が必要です。