フィリップスが医療のサステイナビリティを探る
2025年6月、医療とヘルスケアの国際見本市「Japan Health」がインテックス大阪で初めて開催され、フィリップス・ジャパンも出展しました。今回のイベントは、「医療現場のサステナビリティ」という重要なテーマのもと、医療機関とホームケアの双方から持続可能な医療の在り方を考える内容が展開されました。
すべての人により良いケアを
フィリップスは、ランチョンセミナー「医療現場のサステナビリティ:医療機関とホームケアの視点から」を、6月26日に開催しました。このセミナーでは、三人の医師が様々な視点から持続可能な医療の実現に向けた課題や取り組みについて議論しました。フィリップスのビジョン「Better care for more people」(よりよいケアをより多くの人へ)のもとに、このセッションが進行されました。
医療機器の環境への配慮
セミナーの第一部では、愛知県の加古伸雄先生が登壇し、彼のクリニックで導入したフィリップスのヘリウムフリーMRI「MR 5300」の成功例について説明しました。この機器は、液体ヘリウムの使用を約1,500リットルからわずか7リットルに減少させる技術を活用し、環境負荷を低減することに成功しました。さらに、災害時にも機器の維持管理が容易で、医療の継続性が確保できる点も強調されました。これは地域医療において、持続可能な運営を実現する上で有意義な事例となりました。
医療的ケア児の支援の重要性
第二部では、医療法人財団はるたか会の前田浩利先生が、医療的ケア児の増加に伴う在宅ケアの現状と課題を語りました。このような子どもたちは、人工呼吸器や経管栄養といった継続的な医療的支援が必要であり、2008年に比べてそれらの数は倍増しています。特にNICUの利用率が高いため、在宅医療の重要性を訴え、制度整備の必要性を強調しました。医療的ケア児支援法が成立したことは、医療従事者にとって大きな支援メッセージとして捉えられています。
災害時のケア体制の構築
最後に登壇した戸谷剛先生は、災害時における医療的ケア児の視点から、地域全体で支える支援体制の必要性を訴えました。停電や災害時に無防備な状況に置かれることが多いため、地域で「医療型避難所」や「災害時医療ネットワーク」を構築することが喫緊の課題となると指摘しました。また、多職種が協働することが不可欠であると強調し、平時からの準備が重要であると述べました。
このセミナーを通じて、フィリップスは現場の知見と技術を活かしながら、持続可能な医療の実現に向けて今後も取り組んでいく姿勢を示しています。
人材不足と革新技術のセミナー
同日に、フィリップスは「人材不足を補う革新的技術」をテーマにしたセミナーを開催しました。このセミナーは、官民学の分野から幅広い講演者が集まり、人材不足に対する対策と業務効率化の事例を共有しました。ジャスパー・アスエラス・ウェステリンク社長や厚生労働省の医療技監も参加し、ヘルステック分野の現状を踏まえたディスカッションが行われました。
最後に
医療現場における持続可能な未来を切り拓くためには、技術革新と制度の充実が欠かせません。フィリップスは、社会のニーズに応えるべく、技術の進化とともに医療を支える取り組みを続けていきます。