小さな居酒屋の成功物語
川崎・武蔵小杉を拠点に「きわみ」という8坪の居酒屋を運営する株式会社KIWAMIの代表、阿波耕平氏が、最新の著書『わが社の居酒屋は8坪、月商1200万円その秘訣を教えます』を出版しました。この本では、居酒屋が月商1200万円を達成するまでの道のりと、その背後にある経営哲学を詳しく綴っています。
居酒屋ってどれくらい儲かるのか?
阿波氏は、自身の居酒屋が達成した「坪月商147万円」という数字にとてもこだわっています。一般的に、坪月商が30万円であれば「よく売れている店」とされ、40万円を超えると「儲かってしょうがない」状態になると言われています。つまり、阿波氏の居酒屋はその基準を大きく上回っているのです。
この高い坪月商を実現できた秘訣は、以下の三つに集約されます。
1.
家賃比率を抑える:家賃比率が5%以下に抑えられると、すべての売上が利益に直結します。
2.
投資の自由度が高い:坪月商が40万円を超えることで、原価率や人件費に思いっきり投資できる環境を整えられます。
3.
参入障壁の高さ:坪家賃10万円以内で運営できれば、家賃比率は10%に留まるため、普通の飲食店が進出しにくい地域の真の競争優位が生まれます。
創業からの挑戦
阿波氏は2014年11月に居酒屋「きわみ」を創業しましたが、その初期は苦難の連続でした。10坪の店舗で対応する席数は15席。創業から13カ月目にして初めて坪月商40万円を達成するなど、徐々に成功の兆しを見せ始めました。しかし、同時に1日13時間働き、月に4日の休日しかないという厳しい労働環境に直面し、従業員ともども疲労困憊していました。
そんな時、飲食業の先輩から「企業理念の重要性」を説かれ、彼は自らの理念を模索し始めました。これにより、単なる利益追求から人や幸せのための飲食へと舵を切ることができたのです。
企業理念の確立
阿波氏が辿り着いた企業理念は「飲食で幸せを、そして豊かに」というもので、これに基づいて様々な施策に取り組み始めました。まずは「働き方改革」に注力し、2021年からは毎年度労働時間の削減に着手しました。公休日を月8日取得できる体制にし、労働環境の改善が進められました。
生産性向上への努力
さらに、阿波氏は生産性を向上させるために独自の「哲学」を築き上げました。その内容は多岐にわたり、例えば「肩書ではなく役割で仕事をする」「わが社の常識を従業員全員でつくる」など、非常にユニークで実践的なアプローチが盛り込まれています。これにより、従業員がやりがいを感じつつ、業務に集中できる環境が整備されました。
結果としての繁盛
この一連の取り組みを通じて、居酒屋「きわみ」は繁盛店へと成長を遂げました。顧客からは「居心地が良い」「料理が素晴らしい」と高評価を得ており、単なる居酒屋以上の存在感を示しています。
まとめ
『わが社の居酒屋は8坪、月商1200万円その秘訣を教えます』は、阿波氏の経験を基に、経営者や飲食業従事者にとって非常に重要な教訓が詰まった一冊です。成功を収めるための具体的な戦略や、企業理念の重要性について深く知ることができる貴重な書です。この本によって、多くの飲食店が新たな成功を見出すことを期待したいと思います。