2年ぶりの復活!「天空源流こしひかり」
鳥取の田中農場が手掛ける「天空源流こしひかり」が、過酷な気候を乗り越えて復活しました。2年ぶりの栽培再開に至るまでの過程を、春から秋にかけての稲作の試練と共に振り返ります。
スタートは順調な春
2023年の春、田中農場では3月から苗作りが始まりました。4月と5月は恵まれた天候のおかげで田植えの準備がスムーズに進み、6月20日には全ての田植えを完了しました。特段のトラブルもなく、順調なスタートに期待が膨らみました。
史上最速の梅雨明けと猛暑
しかし、初夏に入ると、予想外の事態が待ち受けていました。6月半ばに梅雨入りしたものの、ほとんど雨が降らぬまま、6月27日に昔からの記録を塗り替える速さで梅雨が明けたのです。その後は猛暑が続き、稲作には大きな水の問題が立ちはだかりました。
水不足との戦い
梅雨明け後には川の水位が下降し、用水路の水も減少。これに対抗するため、田中農場では10台のエンジンポンプを稼働させて上流から水をくみ上げる対応を行い、なんとか水不足を乗り切りました。
雑草との激しい戦い
水不足の影響で、普段は水田に生えない雑草が繁茂。そこでドローンで除草剤を散布する一方、人手による草刈りも必須でした。特に炎天下での作業は過酷でしたが、農場のメンバーは一丸となりこの難局を乗り越えました。
さらに、繁殖力の強い外来種の雑草も出現し、新たな課題に直面しました。しかし、この経験を次につなげたいと考えています。
カメムシ被害の最小限化と収穫の喜び
収穫の8月には、近年問題となるカメムシがいくつか確認されましたが、大きな被害はなく、無事に収穫を迎えることができました。猛暑が続く中でも、夜間の気温が熱帯夜には達しなかったため、米の品質を保ちながら、予定通りの収量を確保することができました。
高温に負けないための工夫
「天空源流こしひかり」の復活には、土づくりの継続が大きな役割を果たしています。堆肥や有機肥料を使って深く耕す取り組みが、高温から稲を守る要因となりました。また、ポット育苗や密苗に挑戦し、作業の省力化にも成功しました。
難しい挑戦と希望の未来
新たな取り組みとして、3つの直播方法にも挑戦しました。特に乾田直播は成果が見られましたが、節水型乾田直播は今後の研究課題となりました。これにより、次年度の栽培に向けたよい学びを得ることができました。
クラウドファンディングによる復興と成果
令和5年に記録的な大雨で打撃を受けた田中農場。クラウドファンディングの支援を受け、地域の人々と共に復旧作業を進める中、扇ノ山の清水も無事に田んぼに引き入れることができました。まだ一部の区画は復旧中ですが、収穫は期待以上の出来となり、2年ぶりに「天空源流こしひかり」としての販売も開始されました。
来年度は全面的復旧を目指し、さらなる挑戦を続けていく田中農場の活動を、これからも注目していきたいと思います。詳細については、公式サイトやYouTube、ブログでも公開しているので、ぜひご覧ください。