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キシリトールの有用性と心血管リスクに関する最新セミナーの報告

2024年9月29日、日本フィンランドむし歯予防研究会は「キシリトールマイスターセミナー2024」をオンラインで開催しました。このセミナーでは、約350人の参加者が集まり、最新のキシリトールに関する研究成果と、それに対する見解が共有されました。

新たな研究の背景

最近、心血管医学の国際専門誌「European Heart Journal」において、「キシリトールは血栓形成を促進し、主要心血管イベント（MACE）との関連性がある」というデータが発表されました。この研究結果は、アメリカのWEBメディアによって報道され、多くの関心を集めました。これを受けて、本セミナーが企画されたのです。

今回のセミナーで、理事長の羽村章氏は、キシリトールに関する3つの主要なメッセージを参加者に伝えました。

1. キシリトールの安全性: キシリトールは、むし歯の予防や口腔内の健康促進に寄与する、非常に安全な甘味料です。
2. 血液凝固との関連性: キシリトールは血液凝固に直接的な影響を与えず、そのための摂取は問題なく行えると言われています。
3. 医療現場での実績: キシリトールは50年以上も医療で活用され、その安全性が実証されています。特に心臓発作や脳卒中の副作用報告は一切ありません。

施行された研究のまとめ

セミナーでは、上記の新しい研究の手法や結果についての詳細が発表されました。2004年から2011年にかけて実施された観察研究では、血液中のキシリトール濃度が高かったグループは、非常に低いグループと比べて心血管イベントのリスクが2倍になることが示されています。また、基礎研究においてキシリトールは血小板反応性と血栓形成の可能性を高め、介入研究では健康なボランティアにキシリトールを摂取させた結果、血中濃度の変化も観察されました。

このような観察研究と基礎研究の結果から、キシリトールの血中濃度が心血管イベントとの関連性を持つことが示されました。しかし、介入研究の結果は、内因性のキシリトール（体内で自然に生産される物質）がこれに関与していることを示しており、通常の摂取（例えば、虫歯予防目的の摂取）では心血管イベントのリスクは非常に低いことが明らかになりました。

今後の展望

羽村氏は、輸入食品の中にはキシリトールを多量に含むものがある地域もあるが、日本国内で主に使用されるキシリトール製品は多くないことに触れ、誤った認識が広がらないように注意が必要であると警告を発しました。日本フィンランドむし歯予防研究会は、引き続きキシリトールの正しい利用に関する知識を広めていくことが重要であると強調しました。

本セミナーの模様は、YouTubeで公開中です。興味のある方々は、下記のリンクからご確認いただけます。

キシリトールマイスターセミナー2024の模様

日本フィンランドむし歯予防研究会は、フィンランドの予防歯科の知見を基に、日本人の歯の健康を守るための活動と啓蒙を続けています。今後も、キシリトールの利点をアピールし、正しい情報を提供し続けることを目指しています。

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