ファーメンステーションとアヲハタの新しい取り組み
ファーメンステーションとアヲハタは、環境に優しいサステナブルな商品を世に送り出しました。製造過程で出たジャムの規格外品を利用して、発酵・蒸留されたエタノールを配合した『アヲハタのジャムで作った除菌ウエットティッシュ』を開発したのです。この製品は、廃棄物を活用した価値を持つ商品として、多面的な環境貢献を目指しています。
アップサイクルの意義
アプローチの根底には、廃棄物や副産物を新たな価値あるプロダクトへと転換する「アップサイクル」があります。これは、リユースやリサイクルとは異なり、未利用資源を創造的に活用することによって、より価値の高い製品に生まれ変わらせるプロセスです。ファーメンステーションはこの考え方を基に、独自の発酵技術を駆使して、食品業界で発生するフードロスの削減を目指しています。
共同開発の背景
アヲハタは伝統的に農産物を無駄なく活用することに力を入れてきました。1932年に設立された同社は、瀬戸内の柑橘類を使った製品を製造し、食品残さの利活用を歴史的に進めてきました。このような経緯から自然への感謝と持続可能な開発を重視し、食品ロス削減に向けた新たな取り組みを展開することになったのです。
アヲハタでは、今後2024年からは製造過程で生じる食品残さの一部を養豚飼料として活用する計画もあり、年間で約25%の食品廃棄物を削減することを目指しています。このように、企業全体のリソースを最大限に活用し、限りある資源をより持続可能にする構想が展開されています。
除菌ウェットティッシュの特徴
開発された除菌ウエットティッシュは、以下の特徴を兼ね備えています。
- - 自然由来の成分: ジャム製造の過程で発生した食品残さから作ったエタノールを使用。さらに、チャ葉エキスとグレープフルーツ種子エキスも配合されており、99%が天然由来の成分です。残る1%が除菌成分です。
- - 環境への配慮: ウエットティッシュには生分解性のセルロース素材が用いられ、無香料で様々なシーンで活用可能です。
- - 除菌性能: 日本衛生材料工業連合会の基準を満たした除菌性能を有しています。
ファーメンステーションの取り組み
ファーメンステーションは、「Fermenting a Renewable Society(発酵による再生社会)」をビジョンに掲げ、未利用資源の再生を行っています。食品業界においては、フードロスや未利用バイオマスを活用して、価値のある製品を生み出すことを目指しています。食品工場での副産物や残さを活用したアップサイクル原料を製品化し、多くの企業との連携を強化しています。
地域循環を意識し、廃棄物削減に向けた新しいビジネスモデルを構築するファーメンステーションは、地域社会にも密接に関与しています。岩手県奥州市に自社工場を持つ彼らは、開発から製造までの一貫したプロセスを管理し、環境に配慮した製品作りに力を入れています。
結び
企業の立場からも個人の取り組みとしても、環境への配慮と持続可能性がますます求められる時代の中、ファーメンステーションとアヲハタの共同開発はその象徴的な例と言えるでしょう。未利用資源を再生し、より良い未来へとつながる取り組みが広がることを願っています。