自治体業務に生成AIを活用した窓口対応支援試験運用開始

NTT-ATと葛飾区が手を組んで進める新たな窓口業務支援

東京都新宿に本社を置くNTTアドバンステクノロジ株式会社（NTT-AT）は、東京都葛飾区と密接に連携し、生成AIを駆使した自治体の窓口対応業務支援システムの試験運用を開始することを発表しました。これにより、自治体の窓口における住民サービスの質の向上を図るのが狙いです。

新しい窓口対応エージェントシステム

この「窓口対応エージェントシステム」は、相談者と窓口職員のやり取りを音声で認識し、自動的に関連情報を提示する仕組みです。これにより、複雑な操作を必要とせず、職員は必要な情報を即座に受け取ることができます。職員の負担を軽減し、よりスムーズな窓口対応を実現することを目指しています。

システムの背景

昨今、全国の多くの自治体ではベテラン職員の退職が相次ぎ、若手職員への業務ノウハウの継承に課題が生じています。特に窓口業務では、経験豊富な職員が不在の時に住民の相談に迅速に対応できないという問題が悪化しています。このような背景があるため、NTT-ATは生成AIを活用して、経験の浅い職員でも高品質な対応ができる環境を整えることが急務となっています。

システムの仕様と特長

窓口対応エージェントシステムは、様々なデータベースを活用しており、葛飾区独自の業務マニュアルや関連書籍が取り込まれています。このため、AIは実際の相談事例をもとに職員に対して対応例を提案することが可能です。

音声認識とアシスト機能

また、このシステムは音声アシスト機能を備えており、相談者との会話を音声認識で記録し、テキスト化します。得られた情報に基づいてタイミングよく適切なプロンプトを生成し、職員の負担を大幅に軽減します。

特に注目すべきは、NTT-ATが開発した高指向性小型マイクロフォン「FR-1100」を使用している点です。これにより、周囲の雑音を抑制し、相談者と職員の音声を分別して集音することで、音声認識の精度を向上させています。

今後の展開と試験運用の目的

NTT-ATはこの試験運用を通じて、窓口対応エージェントシステムの有効性を検証し、システムのブラッシュアップを行います。さらに、来年度の葛飾区での本格運用を経て、全国の自治体や企業にも提供する計画があります。これにより、自治体のデジタルトランスフォーメーション（DX）を推進し、より効率的な住民サービスを実現することを目指しています。