炭酸ガスが肌に与える影響
最近、
花王株式会社のスキンビューティ第1研究所が、炭酸ガス配合組成物を使用することで肌の血行が促進され、表皮細胞のミトコンドリア代謝機能が向上する新たなメカニズムを解明しました。この研究は、一般的に「血行が良いと肌状態が良くなる」とされている現象を細胞レベルで裏付けるものであり、今後のスキンケア研究に大きな影響を与えると期待されています。
研究の背景
過去の研究では、血行の促進が肌の質を向上させることが示されていますが、具体的にどのような変化が肌の細胞内で起きているのかは明らかにされていませんでした。そこで、花王は毛細血管が拡張することで表皮細胞への酸素供給が増加し、その結果としてミトコンドリアの機能が活性化されるのではないかと考えました。
この仮説を検証するため、炭酸ガスに注目して研究を進めたのです。
評価技術の確立
本研究では、生きたヒトの肌で表皮細胞のミトコンドリア代謝状態を高精度に評価する技術が求められました。そして、花王は細胞内の天然の蛍光を活用した自家蛍光スペクトル解析の技術に着目。これにより、細胞がエネルギーを生み出す過程を精密に評価できるようになりました。
具体的には、共焦点蛍光顕微鏡を用いて測定条件を最適化、さらに表皮の細胞を自動的に抽出するための深層学習モデルが開発され、自家蛍光スペクトルデータを安定的に取得できる手法が確立されました。
実験と結果
2025年10月、花王は30歳から40歳の日本人男女を対象に、炭酸ガス濃度を高めた処方を前腕内側に2分間塗布する実験を行いました。塗布前と、製剤除去後の時間経過において、自家蛍光スペクトルの取得を行い、その結果、炭酸ガス配合組成物が表皮細胞のミトコンドリア代謝機能を向上させることが確認されました。
さらに、開発した毛細血管領域自動抽出技術により、毛細血管の拡張とミトコンドリアの代謝機能活性が相関していることが判明しました。つまり、血行促進が細胞代謝に良い影響を与えていることが示されたのです。
今後の展望
このように、花王は今後も炭酸の作用を探求しながら、美しい肌と毛細血管の血流の関係についての研究を深めていく方針です。今回の研究成果は、第103回日本生理学会大会(2026年3月10~12日・東京都)にて発表される予定で、さらなる興味を引く内容となっています。
私たちの肌にとって非常に重要な血行促進とその効果を解明したこの研究結果は、今後のスキンケア製品に新たな可能性を広げることでしょう。これからの研究に期待が寄せられます。