建設機械の位置情報を活用した災害対応の新たな試み
建設機械の位置情報を活用した災害対応の新たな試み
国土交通省は、2023年6月27日付で、大規模災害時における建設機械の位置情報を集約し、活用する試行を開始することを発表しました。これは、テレマティクスデータを用いた災害応対力の向上を目指すもので、建設機械メーカーとの連携が肝となっています。
テレマティクスデータとは?
テレマティクスは、建設機械に搭載された通信システムから取得する情報で、主に位置情報や稼働状況が含まれます。これにより、各建設機械がどれだけ稼働しているのか、またどの地点にあるのかを把握することができます。
国土交通省の取り組み
国土交通省は一般社団法人日本建設機械施工協会と協定を結び、災害時に迅速に建設機械を活用できる体制を整えることを目指しています。今回の取り組みでは、約1,800社となる協力会社が所有する建設機械について、テレマティクスデータを集約し、国土交通省に提供します。
この試行では、震度6弱以上の地震や、その他の大規模な災害が発生した際に、被災地近くの建設機械の位置情報を迅速に取得し、適切な対応ができるようになります。特に、災害が発生している地域から約100km四方のエリアに焦点を当て、被災地周辺における迅速な支援を実現することが狙いです。
具体的なデータ提供の流れ
テレマティクスデータの提供元としては、小松製作所、キャタピラージャパン、コベルコ建機、日立建機の4社が参加します。これらの企業は、自社の建設機械から収集したデータを日本建設機械施工協会に提供し、協会が国土交通省にデータを届ける仕組みです。
また、さまざまな建設機械が参加対象となり、協力会社の合意が得られた場合には、情報が集約されます。国土交通省はこれらのデータを元に、細かな分析を行い、今後の本格的な導入へ向けた改善策を検討します。この試行は、国全体の災害応対力を高めるために必要なステップです。
個人情報保護への配慮
特に重要なのは、この試行で収集した位置情報やデータは、個人情報保護の観点から、国土交通省内のみで取り扱われる点です。このように、プライバシーへの配慮がなされることで、安心してデータの活用が可能となります。
この取り組みは、災害時の支援を迅速に行うための革新的な試みであり、今後の成果が期待されます。国土交通省は、この試行を通じて得られた経験をもとに、より良い災害対応体制を築くために鋭意努力しているところです。