ウクライナの子どもたちへ未来を届ける官民連携プロジェクト
2023年5月22日、日本の独立行政法人国際協力機構(JICA)と横浜市が、ウクライナのオデーサ市の子どもたちに向けて300台の中古ノートパソコンを贈るプロジェクトを実施しました。この取り組みは、株式会社ノジマおよび特定非営利活動法人自立支援センターむくPC工房の協力のもと行われました。
ウクライナの教育現場が抱える厳しい現状
2022年2月以降、ウクライナでは多くの学校が破壊され、約190万人の子どもが通学の困難に直面しています。ウクライナ教育省の発表によると、現在も32万人の子どもが教育を受けられず、多くの子どもたちがオンラインでの学びを続けるための環境が整っていません。オデーサ市では、必要なパソコンが約2,000台不足しているとされています。
プロジェクトの背景
2023年冬、ウクライナ教育省の副大臣が日本を訪問し、国内での中古PCのリサイクルについての視察を行いました。その際、寄附による教育支援の可能性が提案され、横浜市は姉妹都市であるオデーサ市の復旧支援を継続している中で、この問題を深刻に受け止めました。JICAは、横浜市のウクライナ支援に協力的な株式会社ノジマの協力を得て、プロジェクトを実現しました。
プロジェクトの具体的な内容
1. 中古PCの回収
株式会社ノジマが横浜市を中心に展開する店舗から約300台の中古ノートPCを回収し、提供しました。
2. 端末の再整備
NPO法人むくPC工房では、障害者の雇用を促進しつつ、PCの修理や再整備を行っています。これにより、技術を向上させながら現地での使用に適したパソコンが再整備されました。具体的には、修理やChromeOS Flexのインストール等を行っています。
3. 輸送
2023年5月22日には、横浜市との連携の下、一般社団法人東日本大震災雇用・教育・健康支援機構から寄附されたカプセルトイ1,000個と共に、オデーサ市に向けて中古PCの輸送が開始されました。
一台のPCが子どもたちの未来を拓く
このプロジェクトが実現されることで、リモート授業への参加が可能となり、オンライン教材の活用や教師からの指導を受けることができます。特に、卒業資格試験を受けることも可能になるため、子どもたちの将来に対する希望が広がるのです。これにより、戦時下にある子どもたちの学びを守りつつ、未来への希望をつなぐ貴重な取り組みとなります。
官民連携の力
本プロジェクトは、政府機関であるJICA、横浜市、民間企業の株式会社ノジマ、NPO法人むくPC工房という民間の力が一つになり、ウクライナの子どもたちへの支援に繋がった結果です。この取り組みから、官民連携の重要性が再認識され、戦時下にある子どもたちへの支援が広まっていくことを願っています。
JICAについて
JICAは、日本の政府開発援助(ODA)を実施する機関で、150以上の国と地域で活動しています。日本の国際問題は国内外で相互に関連しているため、パートナーと共に解決を目指す取り組みを行っています。