取締役会の変化
2021-01-14 18:00:01

新型コロナウイルスが変えた取締役会の運営実態とその課題

新型コロナウイルスが変えた取締役会の運営実態とその課題



新型コロナウイルスの影響により、企業の取締役会における運営方法に明確な変化が見られました。特に、従来の対面型から非接触型への移行が進んだことで、企業は新たな課題に直面しています。本記事では、その実態と関連する問題について詳しく見ていきます。

1. 取締役会の運営方法の変化



コロナウイルスの影響により、企業は従来の対面型の取締役会から、Web会議や電話会議といった非接触型の運営へとシフトしています。2020年2月までは対面形式を採用していた企業が90%以上でしたが、3月には80%を切り、緊急事態宣言後の4月・5月には4割を下回る運営状況になりました。この変化は必然的なものであり、今後も持続可能な運営方式として見直されることが期待されています。

特にWeb会議の利用は急速に普及し、企業はこの新しい形式に慣れつつあります。取締役会の実施形態においても、非接触型の重要性が高まる中で、企業は適応し続けていると言えます。しかしながら、この進化の中で新たな課題も浮上してきています。

2. 社外取締役のスキルマトリクスの整備



調査によると、社外取締役のスキルマトリクスの整備が進行中である企業が約半数にのぼります。コーポレートガバナンス・コードに従い、独立社外取締役は以前より増加し、特にその数が3人以上となる企業が増えました。しかし、社外取締役の役割やスキルを明確に整理する必要性は依然として高まっており、約48%の企業が「これから整理したい」と考えています。これは企業側が内部リソースの最適化を求める証拠でしょう。

3. 情報管理への懸念



社外取締役の退任時における資料回収状況には懸念が残ります。調査の結果、44.6%の企業が退任時に特に対策を講じていないことが明らかになりました。情報管理の観点からも、資料回収の不備が今後の企業経営に影響を及ぼす恐れがあります。

4. 実効性評価のマンネリ化



取締役会の実効性評価についての調査では、多くの企業がその有用性を認めていますが、一方で、課題が毎年同じ内容でフィードバックされることに不満を抱いている企業も増えています。実効性評価を進める中でのマンネリ化は、改善の機会を減少させているため、企業は新たなアプローチが求められています。

5. 取締役会事務局の業務量増加



取締役会事務局の業務量は増加傾向にあり、難易度も上がっているとされています。約半数の企業において、業務量の増大とともにスタッフ育成の重要性が高まっていると認識されている一方、必要とされるスキルや育成の仕組みが未整備である企業が多い現状です。

結論



新型コロナウイルスは企業の取締役会に多くの変革をもたらしました。非接触型の運営や社外取締役の多様化など、新たな挑戦が業界内に根付く中で、企業は課題解決に向けて早急に行動を起こす必要があります。未来の取締役会がどうあるべきか、企業の戦略策定が今後の鍵となるでしょう。

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