住友林業、LeTechを完全子会社化
住友林業株式会社は、2023年3月28日、取締役会において株式会社LeTechの全株式を公開買付けによって取得する方針を決議しました。この買収は、住友林業がランドセット事業を強化し、賃貸住宅事業を拡大するための重要なステップです。具体的には、株式会社LeTechの自己株式を除く全ての普通株式を取得し、完全子会社化を目指しています。
賃貸住宅事業の拡大
住友林業は、2022年に発表した中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase2」のもと、2027年までに国内住宅販売目標を10,300戸と設定しています。国内住宅市場は人口減少と新設住宅着工戸数の減少が予想される中、競争が激化しています。しかし、戸建注文住宅の販売数は8,000棟を確保し、さらなるシェア拡大を目指しています。加えて、賃貸住宅は持家住宅のアフォーダビリティの低下や単独世帯の増加に伴い、需要が安定すると見込まれています。
LeTechの役割
LeTechは、東京と大阪を中心に「LEGALAND」ブランドで賃貸・収益用マンションを開発し、土地の仕入れから開発、賃貸リーシング、売却までを一貫して行うディベロッパーです。このため、LeTechの持つ土地調達能力や商品企画能力は、住友林業のランドセット事業の拡大に寄与する重要な要素と判断されています。この買収により、住友林業の事業エリアや規模も拡大し、より効果的な企業価値の向上が期待されます。
不動産市場の背景
近年、日本の不動産投資市場は活況を呈しており、2024年の賃貸住宅資産規模は前年より8%増の83.2兆円と見込まれています。特に、大手建設資材の価格上昇が続く中で、コストパフォーマンスが高い木造建物への関心が高まっています。また、ESG投資の流れを受けて、環境に配慮した建築材への需要も増しています。
住友林業は、2030年までに世界の脱炭素化に貢献するため、木材を活用した持続可能な建材や建築方法を推進しています。「Mission TREEING 2030」に基づき、木材のバリューチェーンを強化し、CO2の吸収を促進するとともに、炭素の固定化を進めていく意向です。
将来的な展望
住友林業は、LeTechとの統合を通じて、賃貸住宅事業だけでなく、既存の分譲住宅事業や不動産仲介・管理事業にも好影響をもたらすシナジー効果を期待しています。また、グリーン建築を推進し、環境に優しい建物の供給を拡大することで、地域の雇用創出や持続可能な社会の実現を目指しています。
住友林業グループの新たな挑戦は、今後の不動産市場において強力な競争力を発揮するとともに、持続可能な未来を築くための重要な一歩となるでしょう。詳細については、2023年3月28日付の「株式会社LeTech(証券コード:3497)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」をご確認ください。