最近、株式会社コーセーと東海大学の共同研究において、睡眠不足が肌からのニンニク臭成分「ジアリルジスルフィド」の発生量に与える影響が明らかになりました。この研究は、2024年8月に東京都で行われる第37回におい・かおり環境学会で発表される予定です。
研究の背景
睡眠は健康維持に欠かせない要素ですが、OECDの調査によると、日本は睡眠時間の短い国として知られています。睡眠不足は肌のターンオーバーやバリア機能に悪影響を与え、一方で代謝機能にも影響を及ぼすため、肌のにおいにも関係しているのではないかと考えられました。そこで、本研究では睡眠と肌からのにおい成分の関連について深く掘り下げていくことにしました。
研究方法
実験には、20〜30代の男女4名が選ばれ、「よく眠れる日と眠れない日がある」と自覚する参加者を対象に行われました。参加者は禁酒・禁煙などの制限を受けつつ、普段通りの生活を送りました。睡眠の質を客観的に測定するため、腕時計型デバイスを装着し、睡眠時間、入眠のしやすさ、睡眠中に起きた回数などを記録しました。また、起床時にアンケートを通じて、自分の睡眠状態を評価してもらいました。
次に、皮膚から発生するガス成分を測定しましたので、起床後30分以内にカップ型の採取器を使用して首の部分で皮膚ガスを捕集しました。これを7日間行い、得られたデータを基に解析を進めました。
研究結果
分析の結果、睡眠時間と「ジアリルジスルフィド」の発生量には明確な相関があることが確認されました。良好な睡眠状態の時には、50cm離れた場所ではほぼ感じられないレベルの発生量であったのに対し、睡眠状態が悪化すると、その臭いが明確に感じられるレベルまで増加しました。このことから、睡眠が特定の皮膚ガス成分の発生に密接に関連していることが明らかになりました。
今後の展望
研究の成果から、睡眠は肌の健康や体臭に大きな影響を与えることが示されました。良質な睡眠をとることは、体臭ケアの一環としても有効である可能性があります。今後、デオドラント製品などへの応用についても検討していきます。また、ヘルスケア領域における新たな価値提案の実現を目指し、今後も独自の研究と商品開発を進めていく方針です。