サルコペニア対策に期待
2025-04-25 14:16:30

高齢者のサルコペニア対策に基本チェックリストの活用が期待される理由

サルコペニア早期発見の新しい方法



高齢化が進む日本社会において、サルコペニアの早期発見が重要な課題として浮上しています。この状況を受けて、福井大学医学部の大西秀典助教を中心とした研究チームが、全国的に広く使用されている基本チェックリスト(KCL)を用いたサルコペニアのスクリーニング法を開発しました。これは地域高齢者の健康を守る上で、非常に画期的な成果といえます。

研究の背景


サルコペニアは、加齢や生活習慣、疾患により筋肉量が減少し、それに伴って日常生活機能が低下する状態を指します。近年、日本の高齢化が進む中で、サルコペニアが総死亡リスクや介護が必要となるリスクを高めることが報告されています。そのため、早期の診断と予防が求められています。

基本チェックリスト(KCL)とは?


基本チェックリストは、高齢者の生活や健康状態を把握するために開発された25項目からなる自記式質問票です。介護予防の観点から地域の自治体で広く活用されており、日常生活関連動作や運動機能、栄養状態、認知機能などを網羅的に評価します。これにより、高齢者が自立した生活を続けるための支援が早期に行えるようになります。

研究の目的と方法


本研究では、2020年から2022年にかけて福井県若狭町に住む442名(平均年齢76.7歳)を対象に、KCLを用いたサルコペニアのスクリーニングを行いました。具体的には、KCLと握力測定、歩行速度、体組成を評価し、Asian Working Group for Sarcopenia 2019(AWGS2019)に基づいてサルコペニアの有無を判定しました。

研究においては、KCLの質問項目の中から統計的手法を用いて選ばれた5項目と年齢要因を組み合わせ、サルコペニアの診断精度を高めることを目指しました。

研究結果


調査の結果、参加者のうち34名(7.6%)がサルコペニアと診断されました。特に、KCLと年齢を組み合わせた場合の診断精度は非常に高く、AUC(曲線下面積)は0.892という数値を示しました。これは、KCLが単独で使用される場合(AUC 0.805)よりも著しく高い精度を誇ります。

このことから、KCLはサルコペニアの判定に非常に有用であり、簡単に実施できるスクリーニングツールとして期待されます。追加の機器を必要とせず、地域に暮らす高齢者への負担を軽減できることが魅力です。

今後の展開


本研究の示す結果は、KCLを活用した新たなサルコペニアのスクリーニング手法が地域医療において果たす可能性を示唆しています。今後は、さらなる研究を通じてKCLの判定精度向上を目指し、簡便なスクリーニングツールの開発を進める予定です。また、これを基にしたアプリケーションの開発も視野に入れ、多くの自治体での実地活用が期待されています。

地域高齢者の健康維持や介護予防に寄与するこの取り組みは、行政の負担を最小限にとどめながら、多くの住民に対して効果的なサポートを提供することを目指します。

参考文献


この研究に関する詳細は、福井大学医学部の論文に記載されています。興味のある方は、ぜひご覧ください。今後も高齢者の健康維持に向けた取り組みが進展することを願います。


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